「辞書暗記なんてとんでもない!」 という拒絶反応が多い。
なぜか?
英語を学習するほとんどの人たちは 「辞書暗記」 なんてとんでもないことだと頭から決め付けているからです。
1 そんなもの、退屈で無味乾燥で・・・
しかし、それはたいていの場合、「食わず嫌い」 に過ぎません。 ちゃんと口にしたこともないのに 「嫌いだ!」 と言っているに過ぎないのです。
2 それから、いつもしつこく述べていることですが、「学習辞書」 と 「成人ネイティヴ・スピーカー用の辞書(日本語であればたとえば 『広辞苑』)」を混同している人ばかりです。
「塔」 に用いる標準的な辞書である 「中級学習(英英 or 英和)辞典」 は 日本語で言えば 「中・高生用国語辞典(成人日本人であれば未知語はほぼ無い)」 に相当するレヴェル、つまり、知っていなければ新聞・雑誌・本を満足に(=辞書なしに)読めないレヴェルの語彙集です。
「塔」 は 『広辞苑』 の語彙を全部覚えるなどという普通の人には明らかに不可能なことを目指しているのではありません。 「知っていて当たり前の語彙を全部覚える」 ことが目標で、その 「知っていて当たり前の語彙」 を最も的確に収集・記述したものが 「学習辞書」 なのです。 「塔」=「学習辞書」 の暗記です。
1 の「食わず嫌い」 対策
「退屈で無味乾燥・・・」 という台詞は辞書をちゃんと読んだことのない人たちが吐く言葉です。 「物語を読むのはおもしろいが辞書なんて・・・」 と感じているならそれは違います。 物語がおもしろいと思う人なら辞書を読んでもおもしろいですよ。
いきなり覚える必要はありません。
まず、辞書読みのおもしろさを味わってみてください。
目の前に 「学習辞書」 を置いて読み始めてください。 幼児用の辞書でもかまいません。
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私は今、幼児用の辞書 『Merriam-Webster's Primary Dictionary』 で 「litter」 の項目を読んでいます。
(引用開始)
litter noun and verb
Trash or garbage lying on the ground is litter.
The street was full of litter after the storm
A sign in the park said, "Please don't litter !"
Litter has other meanings too. Long ago, a person could travel by being carried in a litter, which was a kind of couch with a roof.
Straw or other material spread out as bedding for animals is litter too. All the babies born to an animal at once are also called a litter.
When litter came into English over 700 years ago from French, it means bed. Litter no longer means bed, but all its meanings today come from that bed meaning.
A litter used to carry a person is like a bed. An animal's litter is its bed. A litter of baby animals is born on the animals bed. And scattered trash can make you think of a messy animal's bed, so it's called litter too.
Kitty litter isn't a bed; it's like a toilet for a cat !
(引用終止)
そして、この記述の右横に、3匹と2匹のグループに分かれてそれぞれ小さい餌皿から頭をつき合わせて餌を食べる 「母犬が1度に産んだ子犬たち=a litter of five puppies」 の何ともかわいらしいカラー・イラストと、「My dog Mop had a litter of five puppies,」 という説明文があります。
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次に、『アンカーコズミカ英和辞典』 の kiss の項を読んでみます。 すると、「和英のツボ ほおにキスする」 という囲み記事があります。
(引用開始)
(1) 「キャロルにキスした」はもちろん、I kissed Carol. である。 しかし、「キャロルのほおにキスした」には、日本人がすぐ思い浮かべる I kissed Carol's cheek. のほかに、I kissed Carol on the cheek. がある。 後者はキスの相手がキャロルであることにポイントがあり、彼女に対してキスが意図的で行為に感情がこもっており通例愛情表現であることを表す。 これに対して前者は意図性や感情密度が薄く、偶然接触した、あるいはあいさつ代わりの儀礼的なキスをした、の意味となり、ほっぺたへの軽いチューや A breeze kissed Carol's cheeks. (そよ風がキャロルのほおをなでた)のような比ゆ的な文でぴったりとなる。 また、I kissed Carol on her cheek. という文は、体のほかの部分(たとえば唇)でなく彼女のほおに、を表す言い方である。
(2) 同様に「私はトムの頭を殴った」は、 I hit Tom's head. では何かの拍子に当たった、にもなってしまうので、「怒って」とか「こらしめに」というような意図性を出すには I hit Tom on the head. という。
(引用終止)
さらに、『Longman Dictionary of American English』 の kiss の項を読んでみましょう。
(引用開始)
kiss 1 /kɪs/ verb
1 [intransitive, transitive] to touch someone with your lips as a greeting, or to show love:
They stood on the beach and kissed.
She kissed me on the cheek.
He leaned forward and kissed her goodnight.
2 kiss something goodbye spoken used in order to say that someone will lose his/her chance to get or do something:
If you don't start working harder, you can kiss medical school goodbye.
(引用終止)
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こんな記事が 「退屈で無味乾燥で・・・」 ですか? 私にはすこぶるおもしろい!
読むだけでもよろしい。 だんだん気がむいてくれば 「塔」 に取り掛かったらいい。 もちろん、読むだけでも大いに価値ありです。
2 の 「学習」辞書はどんな辞書か の認識不足対策
『ニューヴィクトリーアンカー英和辞典』 を開いてみる。 そして、たとえば make の項をじっくり読んでみる。有益でけっこうおもしろいと思うでしょう。
ちゃんと読んでみたら、できたらもう少し努力して未知語を転記していってもあるいは未知語にマークぐらいしていっても、そんなに退屈ではない、いや、案外おもしろそうだと実感する。
そして、どこからみても 『広辞苑』 レヴェルの辞書ではないこと、まったく違うタイプの辞書であること、が認識できるはずです。 「辞書」 というより、みなさんのいう 「単語帳」 あるいは私のいう「語彙集」 の高級ヴァージョンといったほうがふさわしい出版物だと思うようになるはずです。
活字も大きいし読みやすいし 『Longman Dictionary of American English』 などの学習例英辞典の併用もうまくいきそうだし、「とんでもない!」 なんてもう考えないでしょう。
多読?
これは英語学習の面からは語彙の復習と語法理解の深化のため、文学作品を読む場合は語彙の創作的用法に触れるため、そして一般的には娯楽や学問あるいは情報収集のためであって、1万語内外 ( 通常は、量の面では5000語ぐらいが限界、質の面では基本語・多義語の理解及び語法認識で著しい限界 → しかし、本人はほとんど気づかないし分かったつもりになっているからそんな限界には無頓着) を越える語彙強化の手段にはなり得ない。
また、普通の日本人のいう多読はネイティヴ・スピーカーのいう多読に比べて質・量が恐ろしく劣る。 ネイティヴ・スピーカーは毎日10時間前後 ― 夢も ― 英語で過ごしている。 語彙リストで詰め込む学生・社会人も多いし、語彙の多寡が収入・出世に響く現実もある。 5~10万語の既知語彙を既に備えた人たちが英語漬けの生活をして年に1000語程度の新たな語彙を獲得していく。 5~10万語の既知語彙を前提にして初めて年に1000語の新たな語彙獲得が可能になるのです。 私たちとはまるで比較にならない。。
多読で語彙強化できるのではないかと思う人はたとえば100時間の学習辞書暗記と同じ100時間の辞書を引かない読書を実行してその語彙強化の質・量を比較してみるべし。 違いがいやでも分かりますよ。 議論するよりまず実行すべし。 本音を言うと 「議論している暇があるなら単語をひとつ覚えた方が早い!」 です。
Happy learning !
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