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「塔」完成に要する時間(2)

前回に次のように書きました:

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(未知語彙が5000語の場合)
工程2 に必要な時間数は1000時間
工程3 に必要な時間数は1000時間(工程2の数倍のスピードで暗記可能だが復習に時間がかかる)
合計 2000時間

(未知語彙が1万語の場合)
工程2 に必要な時間数は2000時間
工程3 に必要な時間数は2000時間(工程2の数倍のスピードで暗記可能だが復習に時間がかかる)
合計 4000時間

(ただし、各人のやり方・体力・能力その他いろいろな面で個人差が極めて大きいので、非常に大雑把な計算であることを了解されたし)

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どんな作業を想定しての必要時間なのかもう少していねいに説明しておきます。

ターゲット辞書は (A) 『Longman Dictionary of American English 1000ページ』  だとしましょう。

その際に 工程2 で行う作業は:

No.1 まず A の各ページをもれなく読むことです。 1文字1フレーズでも音声も含めて不明な箇所があってはいけません。 したがって、(A)の辞書の語義説明や例文を読んで充分理解できる程度の語彙力と音声・文法・構文の知識が前提です(音声も必須!音を伴わない語彙は半死状態)。 時には英和辞典の併用も必要でしょう。

No.2 次に、No.1 の作業と併行して未知語彙を確定してゆきます。 うろ覚えであったり最近覚えたばかりで定着していなかったり多義語の1部の意味が未知であったりとにかく明確に暗記していない語彙はすべて未知語彙として処理します。 もちろん、未知語彙を含む例文もできるだけ転記します。

No.1~2 の辞書を読んで未知語彙を確定する作業に各ページ10~15分は必要でしょう。 10分だとして1000ページで約170時間必要です。

No.3 最後に、未知語彙をカードに転記します。 発見するごとに転記してもよいしページ毎に一括して転記してもいいでしょう。 その際に英語の語義説明だけでは不安な場合や適切な和訳が欲しいと感じた場合は英和辞典を引いたり自分で考えたりしながら追加記入しておきます。 図が欲しいときはカードの裏側にGoogleから転写することもあります。 

そして、転記しながら暗記します。 必ず忘れますが、それでもとにかく転記して暗記します。 本格的な暗記は「工程3」 の作業ですから今はとりあえずの暗記です。 ただ転記するだけでは脳に対するインパクトが弱すぎるからです。

この転記して暗記する作業 (英和辞典を引いたりGoogleやその他の参考文献・図などを参照したり未知語彙について思考したりする時間を含む) に各未知語彙について平均10分前後必要でしょう。 未知語彙が5000語の場合約800時間必要になります。

No.1~3 の辞書を読んで未知語彙を転記してとりあえず暗記する作業に、未知語彙が5000語の場合、合計で約1000時間が必要です。

工程3 に必要な時間数についての補足説明は後日行います。

念のため: 『中級学習辞書』 レヴェルの語彙をすべて暗記できる態勢にある人は ― 日本人としては ― 語彙に関してもかなり学習の進んだ人です。 そんな人の未知語彙のほとんどは ― 今までのやり方では暗記できなかったあるいは盲点になっていた ― 「ひと筋縄ではいかない語彙」 だと思います。 いかに当たり前に必要な語彙ばかりとはいえ、国内の資格試験レヴェルの語彙に比較したら難物でしょう。 今までに暗記している語彙と同じ容易さで暗記できれば幸いですがそうもいかないことが多いはずです。 ましてや、中学や高校での語彙暗記とはいろいろな面で比較にならない作業です。 100ページほど実行してみたら若干の感触はつかめると思います。 

そして、「人のやり方・体力・能力その他いろいろな面で個人差が極めて大きい」 と書いておきましたように、必要時間数はいかようにでも大きくなったり小さくなったりします。 しかし、そのことが語彙強化の質に与える影響の非常な大きさも認識しておくべきでしょう。

どれだけの語彙をどれほどの質を確保して覚えていくのかは各自の判断に依るしかありません。 

その各自の判断は、各自の日本語の質・量及び言語に対する感度によって ― おそらく本人は無意識の内に ― 規定されます。

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 はじめまして、keisukeと申します。昨年の4月頃よりブログに足を運ばせていただいています。簡単に自己紹介をしますと、高校卒業後の1年間は専門学校で英語を勉強し、現在アメリカはカンザスにある4年制州立大学にて社会学を専攻しています。現在の語彙力はhttp://www.wordsandtools.com/vocdemo/gzram3.html
のintermediateで8900語程度です(今年の1月初旬に計測)。
 今日は報告ということでコメントさせて頂きます。ブログに出会って以来幾らかの紆余曲折(市販の単語帳で2000語程度詰め込む、グランドセンチュリーの重要語マークがついている箇所だけ拾い読みetc.)を経て、今年に入り、ようやくカード方式アンチ・バベルの塔の施工に漕ぎ着けました。現在はSVL12000の単語をLDOCEをメインに、時にはOALDも引いてみながら建設しています。建設材料として5x8"のindex cardを選択、100枚を1階とし現在は2階を建設中です。暗記は竣工後、本格的に開始しようと考えています(現在はカードをパラパラ読み進める程度です)。
 留学前からこの方法で勉強できていたら、今どれほど楽に本業に邁進できていただろう、と思います。あるいはあの頃、せめて丹念に辞書を読んでいたら。もし中学あるいは高校時代の自分に24時間体制で家庭教師が出来るなら、徹底的にこの方法を叩き込んでアメリカに送り込みたい、そう考えたりもします。
 現実に話を戻しますと、まず当面の目標は、卒業までに残された1年半という時間枠で1)SVL12000の完全習得2)SiL6000・SAT・GREレベルで塔を作成、の2点です。基準として、SATの単語はhttp://www.freevocabulary.com/print.htm
から。GREレベルはhttp://www.postech.ac.kr/~gla/gre/
を用いようと計画しています。これらを総合すれば(重複語彙数は不明ですが)派生語も含め2万語レベルには到達するでしょうし、そうなれば5万語クラスの学習英英辞書・英和辞書の暗記も完全に視野に入れることができるのではないかと考えています。
 塔の建設に大きな進展があった時には、またコメントさせて頂きたいと思います。それでは失礼致します。

Posted by: keisuke | March 20, 2008 at 05:24 PM

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