語彙強化法に対する自覚(1)
「塔」 以外の語彙強化法の特徴は 1 真に必要な語彙の質・量の無視 2 必要時間数の無視 3 暗記法の重視 4 復習の無視 といえるでしょう。
そうした特徴にたいする自覚がないと、語彙の習得でひいては英語学習で行き詰まる人が多くなる。
1 真に必要な語彙の質・量の無視
たとえば、市販の語彙集は大学受験用とか資格試験用とかの設定はしてあります。 また、アルクのSVL標準語彙水準12000は、入門から最上級の12段階に語彙を区分けして、その12段階までマスターすれば充分であるような説明をしてあります。
しかし、そんな語彙集の語彙レヴェルは、真に必要な語彙 ― つまりネイティヴ・スピーカーの成人なら普通に知っている語彙 ― のレヴェルには質・量ともにはるかに及ばない。
受験や資格試験に合格したり高得点・満点を獲得しても、必要な語彙を習得しているとは決して言えない。
たとえば英検1級に合格しても、ネイティヴ・スピーカーなら8歳から夢中になれるハリー・ポッターでさえ楽に読めないし、雑誌やペーパーバックは明らかに難物である。 TIME などは、別に高級誌でもなんでもない普通の雑誌なのに、知識人しか読めない雑誌だなどと滑稽な誤解をしている人がいまだに多い。
現状の学習をいくら継続しても ― 音声や文法・構文には何も問題がないのに ― 英語を日本語と同様に読んだり聞いたりできないとしたら、それは英語の語彙の質・量が悲しいまでに乏しいからである。
ところが、そんな事情をはっきり述べた語彙強化法は「塔」を除いてありません。 はっきり述べるどころか、「分からない語彙は意味を推定しよう」とか、「語源で意味を推定できる」とか、「分からない語彙は飛ばして読もう」とか・・・まことに乱暴な処方箋が横行しています。
曲芸(推定・語源・飛ばし・・・)で語彙強化の行き詰まりを打破することはできない。 それは各自の経験でも分かっているはずなのに、大多数の人たちが曲芸に活路を見出そうとする。
( 曲芸が達者になってけっこう満足な人たちもおられる。 しかし、私は到底満足できなかった。 日本語で読んだり聞いたりできるレヴェルが真に分かると言えるレヴェルだと思っているから、英語もその日本語のレヴェルに限りなく近づきたい。 だから満足できなかった。 )
(もちろん、満足している人たちに向かってとやかく言うことなどまったくない。 また、満足な場合は語彙強化など不必要だ。 そのまま英語を楽しめたらあるいは利用できれば何の問題もない。 「塔」 など無視すべきです。)
塔主は、「ネイティヴ・スピーカーの成人なら普通に知っている語彙=約5万語超が ― 獲得可能かどうかは別にして ― 真に必要なレヴェルの語彙である」 ことを無視するかあるいは明言しない語彙強化法は英語学習の迷える羊を大量生産する原因になっていると思います。 事実を無視せずにはっきり明言しておけば迷える羊の数は激減するでしょう。
また、普及している語彙強化法も優れたものが多いわけですから、その明らかな限界さえ明言しておけば、ある程度までは大いに利用すべきだという合理的な判断がどの人にも可能になります。 幻想や誤解を抱かせる余地がなくなります。
(繰り返しになりますが、自分の現状の語彙レヴェルあるいは自分なりの語彙強化法に特に不満のない人は上記の議論など無視されたく ― 気にする必要は皆無です。 万一不満が生じたら、そのときは、「塔」も参考のひとつになるはずです。)




Comments
初めまして。いつもホームページを拝見させてもらっています。カード作成まではしてませんが、このホームページに影響されてLDAEをCまで読みました。
しかし、最近辞書を用いた学習について疑問をもちはじめました。
たとえ辞書を全て覚えたとしても一日三十分の復習を要するのなら、わからない言葉が出たときにその都度辞書を引いた方がいいのではないかという気がしてきました。既知の語彙が少なくても三十分辞書を引けば、かなりしっかりと本が読めると思います。
それにネイティブなら義務教育を受けて間もない8才からハリーポッターが読めるということは自然に覚える語彙が13000位しかないということと考え合わせると、逆にスラスラ読めることと既知語彙の多さとの因果関係がないことを証明しているような気がします。
疑問がどうしても晴れないので失礼かとも思いましたがこの点、どうお考えになるのか知りたく思い投稿しました。
ご回答頂ければ幸いです。
Posted by: koji | April 28, 2008 at 11:38 PM