« 英語の語彙:雑談(51) | Main | 「塔」完成に要する時間(4) »

「塔」完成に要する時間(3)

(未知語彙が5000語の場合) は合計 2000時間、(未知語彙が1万語の場合) は合計 4000時間で、時速は2.5語 (ただし個人差大) という ― 私の実際の経験に基づいた ― 話しをすると「何と効率の悪いやり方なんだ!」 というコメントが必ず返ってきます。

学習辞書を利用しカードを作成したあと丹念に暗記し半永久的に復習を繰り返すという 「塔方式」 がとてつもなく不自然なしかもベラボウな時間のかかる方法だという印象を持つ人が多いわけです。

もっと自然で効率の良い方法があるはずだと ― 「塔」 に匹敵する実証済みの方法を何ひとつ知らないにもかかわらず ( この言い方に反発を感じる方はどうぞ「塔」を無視してご退場ください。そして、自分独自のもっと効率の良い方法を確立して それを実行し成功した後で ぜひ教えてください!) ― 甘美な夢想を抱くのです。 

もっと自然で効率の良い方法」 を夢想する人の多くは 「ネイティヴ・スピーカーが語彙を増やすプロセスこそ自然で効率的な方法」 だと考えがちです。 「我々は日本語の語彙を学習辞書を利用して覚えたのか、そうじゃないだろう」 と主張します。 

とんでもない誤解です。

もし 「自然な語彙の習得法」 = 「実生活の中で無意識に覚えるプロセス」 だとするなら、そうしたプロセスだけで覚える語彙の数は英語の場合1万3000語ぐらいでしょう。 これはネイティヴ・スピーカーが6歳ぐらいまでに習得する語彙数です。 

この1万3000語の語彙を 「自然に覚える」 ためにネイティヴ・スピーカーはどれだけの時間を費やしているとお考えか?

毎日8時間英語に接するとして6年間で1万7520時間。 その間に覚える語彙数が約1万3000語。 語彙習得スピードは時速 0.74語 ですよ。 簡単にして時速1語だとしておきましょう。

その後は強制的な教育を受けて文字を習いものを読んだり語彙リストを暗記したり辞書を利用したりして習得する語彙が圧倒的に多くなります。 

だから文字なしにいわゆる自然に覚える語彙数はその後はあまり増えません。 だいたい1万数千語どまりではないかと思われます。 

実際、日本人の場合でも、日本語の語彙の少ない人たち学校の勉強や読書をほとんどしない人たちの語彙数はその程度で、普通に就職するのも困難です。 

そして、就学して成人するまでに、たいていのネイティヴ・スピーカーは学習辞書基準で5~6万語ぐらいの語彙を習得します。 前述の1万3000語に加えて37000語の語彙を習得する計算になります。 その間16年間で、毎日10時間英語に接するとして58400時間。 この場合の語彙習得時速は 0.63語ですよ。 ただし、10万語程度の語彙数を習得する人もそんなに珍しくない。 その場合の時速は 1.5語。 

そこで、全体を通して時速1語(習得語彙約7万語)としてもそんなに非現実的な計算ではないでしょう。 

他方、「塔方式」 の時速は2.5語です。 しかも覚える語彙の質・量は市販の単・熟語帳などをはるかに凌ぐレヴェルです。

「アンチ・バベルの塔」 は決して効率の悪い方法ではないのです。 

また、「ネイティヴ・スピーカーが語彙を増やすプロセスこそ自然で効率的な方法」 だと信じていたらそれこそ生涯幼児並の語彙力しか身につきません。 あなたが毎日英語に接する時間を考えてみてもそんなことは明らかでしょう。

ちなみに私たちの生涯労働時間は約8万時間定年後の自由時間も約8万時間です。

 

|

« 英語の語彙:雑談(51) | Main | 「塔」完成に要する時間(4) »

Comments

Post a comment



(Not displayed with comment.)


Comments are moderated, and will not appear on this weblog until the author has approved them.



TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/47849/40820741

Listed below are links to weblogs that reference 「塔」完成に要する時間(3):

» 生命保険の保証の準備 [生命保険の保証の準備]
これまでは、わたしたちが保証の見直しをするのは働き盛りでまだまだ現役のときだったと思います。   [Read More]

Tracked on April 09, 2008 at 11:20 AM

« 英語の語彙:雑談(51) | Main | 「塔」完成に要する時間(4) »