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コメントにお答えする(7/2008)

kr.さんへ

コメントありがとうございました。

「塔」 の記事をすべて読んでいただいた由、感謝に絶えません。 

充分な語彙さえあれば、ご指摘のクーンツの小説やその他の人気作家の作品は ― 難解な構文は意図的に避けられていて ― 『総合英語 Forest (桐原書店)』 などの高校文法をちゃんとマスターした人なら語順通りにストレスなく読み進めることができます。

ところが、その充分な語彙 (=英語のネイティヴ・スピーカーの庶民の語彙 ) を備えた人はまことに少ない。 

語彙不足は市販の語彙集に頼っていてはいつまでたっても埒(らち)が明かない問題です。 「未知語彙の意味推定読み」 に代表されるような 「ごまかし」 に陥ってしまう人が何と多いことでしょう。 

スラスラ読めるようになるために必要なことは 「5000ページ内外(少なくともペーパーバック数冊 )の精緻を極めた精読」 と 「ほとんど未知語彙がない書物をどんどん読むこと」 に加えて 「学習辞典の語彙をすべて覚えること」 です。 

学習辞典の語彙をすべて覚えること」 は確かに容易なことではありません。 しかし、それ以外に 「語彙の巨大な壁 」 を突き崩す術はないとは確信しています。 

以下、ご質問にお答えします。

> (1)同じ語彙の段階毎のメンテナンスについて
例えば最初に利用した辞書から転記した語彙に対して、第二段階で用いた辞書から語義を追加する場合、第一段階で作成したカードに対して追記なさっているのでしょうか?
或いは、その語彙に関してはカードを作成しなおしておられるのでしょうか?

私の 「塔」 は2段階のカード群で構成されています。 第1段階のターゲット辞書が (1) 『Random House Webster's Intermediate English Dictionary』 で第2段階が (2) 『Cambridge Advanced Learner's Dictionary 』 です。

第2段階のカード作成のときに第1段階のカードに追加したり第1段階のカードを作成しなおしたりすることは皆無でした。 (1) に追加すべき語義は (2) では別に見出し語を立てて記述してある場合がほとんどで、そうでない場合はあえて追加しなくても充分に連想可能な語義だったからです。 

第2段階で予想外に頻出した未知語彙は、「塔」 語彙の約50%前後を占めるイディオム・スラング・その他のチャンク表現でした。 

 (2)「塔」の語数について
「塔」の語彙数は2万語ほどで、この語数は利用辞書の見出し語の値ではない、とのお話でした。また、「塔」以外の2万語程度の認識語彙は、普段の読書などで充分に維持され、まったく復習の必要なしとのお話もありました。一方、ご利用になった英英辞書は、総語彙数が17万語あまりではなかったかと思います。
そうすると17万語-(2万語+2万語)=13万語がどのような扱いになっったのかが気になります。

ご指摘のように 「塔」 の語彙数は2万語超であり、その2万語超のなかで「 ターゲットの学習辞書の見出し語でない語彙」のほとんど は、イディオム・スラング・その他のチャンク表現です。 なお、(1) 『Random House Webster's Intermediate English Dictionary』 や (2) 『Cambridge Advanced Learner's Dictionary 』 の 「見出し語の選択法・数・その他」 に関して疑問がある場合はぜひ実物をご覧になって納得してください。 文章では説明しかねます。

私は 「塔」 の建設に取り掛かる前に ― 英会話学校などでクラスを担当していた約25年間に ― 「高校生用の初級英和辞典(手元になくて辞典名が不明)」 や 『三省堂ニューズ英語辞典』 を完全に暗記し英検1級に難なく合格しました(復習を続行しなかったため当初の記憶の質・量を維持できなかった)。 そのほかにも2~3種の学習英英辞典の暗記に取り掛かってそれぞれ3分の1ぐらいまで覚えました(Aから順番とは限らなかった)。 また、「英検1級講座」 などのクラスを担当したときに 『1100 WORD You Need to Know (Barron's)』 とかを含む数種の海外の語彙集に生徒さんと一緒に取り組みました。 その間自分で勉強した市販の語彙集もかなりありますし、数冊のペーパーバックを徹底的に精読しながら独自の語彙集を作成して未知語彙に挑戦したり、Oxford English Dictionary (今はCD版を所有 )を拾い読みするために大阪府立図書館に通ったこともあります。

雑誌やペーパーバックやハードカヴァーの本を好んで読みましたし今も読んでいます。 出版翻訳も経験しました。 

そうしたことを繰り返して 「塔」 という究極の語彙強化プロジェクトに着手したころには kr.さんご指摘の 「17万語-(2万語+2万語)=13万語」 の語彙を理解できるようになっていたわけです。 それは、しかし、 「塔」 を完成して初めて分かったことです。

そして、「塔」 に収納した2万超の語彙こそ、長年の絶え間ない語彙獲得の努力にもかかわらず定着しなかった語彙であり、だからこそ半永久的な復習を繰り返して2度と忘失することのないようにしているわけです。 「塔」 以外の語彙は意識的に復習しないでも維持可能です。

以上、何かの参考にしていただければうれしいです。

これからもよろしくお願いいたします。

Thank you.

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Comments

k.r.です。

丁寧なご説明、ありがとうございました。

語彙数の件、

>  「塔」 以外の語彙は意識的に復習しないでも維持可能です。

とのお話、了解です。

「塔」以前にかなりの語彙力を築いておられたであろうことは想像に難くありませんでしたが、それにしても、十数万語が意識的な復習なしに維持可能とのこと。
語彙力が数千語のわが身を振り返るに、いささか気が遠くなりました。

ところで、重ねて質問させてください。
辞書から未知語を拾い出し、それを全てカード化し、繰り返し暗記し、最終的に「半永久的な復習を繰り返す」必要のある語彙群が決まる(残る)までに、転記したカードの一部或いは大部分が漸次淘汰されて(カードが減って)いくことと思います。
(そうでないと、わたしの場合、しゃれにならない語彙数が永久復習の対象になってしまいます)
その淘汰の(意識的な復習なしでも維持可能と判断する)の目安は何かありますでしょうか?
経験的なものでも構いませんので、お話いただけませんでしょうか?
(「意識的な復習を要しない語彙は約2万語」とお書きになったのは、この淘汰された語彙数のことではないかと推察しております)

Posted by: k.r. | August 26, 2008 at 11:57 PM

kr.さんへ

> 辞書から未知語を拾い出し、それを全てカード化し、繰り返し暗記し、最終的に「半永久的な復習を繰り返す」必要のある語彙群が決まる(残る)までに、転記したカードの一部或いは大部分が漸次淘汰されて(カードが減って)いくことと思います。

その通りです。 私の「塔」の場合は永久に復習を続けますが、人によって ― 学習辞典の見出し語換算で ― 5千語~1万語~1万5千語ぐらいまでは復習しなくても維持可能でしょう。英語に接する頻度・密度などによって大きく左右され、2~3万語でも、私もそうですが、意図的な復習なしに維持できる場合もあります。

そして、ある程度までなら(どの程度までかは人によって違いますが)カードを作成しなくても済むでしょう。

> (そうでないと、わたしの場合、しゃれにならない語彙数が永久復習の対象になってしまいます)

その数は各人の英語に接する頻度・密度に左右されます。読書や仕事で英語に接することが復習の代わりになります。

> その淘汰の(意識的な復習なしでも維持可能と判断する)の目安は何かありますでしょうか?

ある期間たとえば6ヶ月~1年放置してもしっかり覚えていたらほぼ大丈夫でしょう。実験されたらおもしろいですよ。あるいは、実験などしなくても、怠けて放置してしまうことは日常茶飯事ですから、忘却のひどさはいやでも痛感することになるのが普通です。当初は張り切ってやるのですがなかなか継続できないものです。私など挫折と失望の連続でした。だから「塔」はまぶしいほどに輝く宝物なのです。

Thank you.

Posted by: k.y. | August 27, 2008 at 09:46 PM

k.r.です。

重ねてのご説明、ありがとうございました。

Posted by: k.r. | August 27, 2008 at 10:20 PM

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