« July 2008 | Main | September 2008 »

ネイティヴ・スピーカーの語彙数(1)

このブログのあちこちでたとえば 「英語の語彙数」 ( http://sanshisuimei.cocolog-nifty.com/_the_tower_of_antibabel/2006/12/post_f280.html ) という記事を書いたときにも述べたことですが、英語のネイティヴ・スピーカーの英語の標準的な語彙数は5万語前後だろうと思われます。 日本人の日本語の語彙数も5万語ぐらいです。

そのことに関連して、村上憲郎著 『村上式 シンプル英語勉強法』 に ― (引用開始) 以前勤めていた外資系企業の同僚の外国人数人を対象に、ランダムハウスのペーパーバックスの辞書でテストしました。 その辞書は収録語数が10万~15万ぐらいだったと思います。 すると、MBAを取って入社してきた外国人で、知っている英単語がやはり約7万語でした (引用終止) ― という記述があります。

この7万語は だいたい 「上級学習英英辞典」 の語彙レヴェルです。

村上さん自身は日本の国語辞典を使って自分の日本語単語の数を調べたそうです。 その結果約7万語の日本語単語を知っていることが分かったそうです。

この約7万語 (専門・業務語彙は含まれない) というのは単語だけですから熟語やスラングその他のチャンク表現を加えたら軽く10万語を超えます。 標準語彙数の5万語を超えているのは村上さんも上記のMBA取得者も高学歴だからでしょう。

この村上さんのネイティヴ・スピーカーの語彙力チェックからも、ネイティヴ・スピーカーの語彙レヴェルは 「中級学習英英辞典~上級学習英英辞典」 の語彙レヴェルだということが分かります。

そして、「中級学習英英辞典~上級学習英英辞典」 の語彙をすべて覚えることは決して不可能なことではなく、ネイティヴ・スピーカーの語彙レヴェルに肉薄するための最も効率の高い方法であることは何度も述べてきたとおりです。

| | Comments (0) | TrackBack (0)

コメントにお答えする(7/2008)

kr.さんへ

コメントありがとうございました。

「塔」 の記事をすべて読んでいただいた由、感謝に絶えません。 

充分な語彙さえあれば、ご指摘のクーンツの小説やその他の人気作家の作品は ― 難解な構文は意図的に避けられていて ― 『総合英語 Forest (桐原書店)』 などの高校文法をちゃんとマスターした人なら語順通りにストレスなく読み進めることができます。

ところが、その充分な語彙 (=英語のネイティヴ・スピーカーの庶民の語彙 ) を備えた人はまことに少ない。 

語彙不足は市販の語彙集に頼っていてはいつまでたっても埒(らち)が明かない問題です。 「未知語彙の意味推定読み」 に代表されるような 「ごまかし」 に陥ってしまう人が何と多いことでしょう。 

スラスラ読めるようになるために必要なことは 「5000ページ内外(少なくともペーパーバック数冊 )の精緻を極めた精読」 と 「ほとんど未知語彙がない書物をどんどん読むこと」 に加えて 「学習辞典の語彙をすべて覚えること」 です。 

学習辞典の語彙をすべて覚えること」 は確かに容易なことではありません。 しかし、それ以外に 「語彙の巨大な壁 」 を突き崩す術はないとは確信しています。 

以下、ご質問にお答えします。

> (1)同じ語彙の段階毎のメンテナンスについて
例えば最初に利用した辞書から転記した語彙に対して、第二段階で用いた辞書から語義を追加する場合、第一段階で作成したカードに対して追記なさっているのでしょうか?
或いは、その語彙に関してはカードを作成しなおしておられるのでしょうか?

私の 「塔」 は2段階のカード群で構成されています。 第1段階のターゲット辞書が (1) 『Random House Webster's Intermediate English Dictionary』 で第2段階が (2) 『Cambridge Advanced Learner's Dictionary 』 です。

第2段階のカード作成のときに第1段階のカードに追加したり第1段階のカードを作成しなおしたりすることは皆無でした。 (1) に追加すべき語義は (2) では別に見出し語を立てて記述してある場合がほとんどで、そうでない場合はあえて追加しなくても充分に連想可能な語義だったからです。 

第2段階で予想外に頻出した未知語彙は、「塔」 語彙の約50%前後を占めるイディオム・スラング・その他のチャンク表現でした。 

 (2)「塔」の語数について
「塔」の語彙数は2万語ほどで、この語数は利用辞書の見出し語の値ではない、とのお話でした。また、「塔」以外の2万語程度の認識語彙は、普段の読書などで充分に維持され、まったく復習の必要なしとのお話もありました。一方、ご利用になった英英辞書は、総語彙数が17万語あまりではなかったかと思います。
そうすると17万語-(2万語+2万語)=13万語がどのような扱いになっったのかが気になります。

ご指摘のように 「塔」 の語彙数は2万語超であり、その2万語超のなかで「 ターゲットの学習辞書の見出し語でない語彙」のほとんど は、イディオム・スラング・その他のチャンク表現です。 なお、(1) 『Random House Webster's Intermediate English Dictionary』 や (2) 『Cambridge Advanced Learner's Dictionary 』 の 「見出し語の選択法・数・その他」 に関して疑問がある場合はぜひ実物をご覧になって納得してください。 文章では説明しかねます。

私は 「塔」 の建設に取り掛かる前に ― 英会話学校などでクラスを担当していた約25年間に ― 「高校生用の初級英和辞典(手元になくて辞典名が不明)」 や 『三省堂ニューズ英語辞典』 を完全に暗記し英検1級に難なく合格しました(復習を続行しなかったため当初の記憶の質・量を維持できなかった)。 そのほかにも2~3種の学習英英辞典の暗記に取り掛かってそれぞれ3分の1ぐらいまで覚えました(Aから順番とは限らなかった)。 また、「英検1級講座」 などのクラスを担当したときに 『1100 WORD You Need to Know (Barron's)』 とかを含む数種の海外の語彙集に生徒さんと一緒に取り組みました。 その間自分で勉強した市販の語彙集もかなりありますし、数冊のペーパーバックを徹底的に精読しながら独自の語彙集を作成して未知語彙に挑戦したり、Oxford English Dictionary (今はCD版を所有 )を拾い読みするために大阪府立図書館に通ったこともあります。

雑誌やペーパーバックやハードカヴァーの本を好んで読みましたし今も読んでいます。 出版翻訳も経験しました。 

そうしたことを繰り返して 「塔」 という究極の語彙強化プロジェクトに着手したころには kr.さんご指摘の 「17万語-(2万語+2万語)=13万語」 の語彙を理解できるようになっていたわけです。 それは、しかし、 「塔」 を完成して初めて分かったことです。

そして、「塔」 に収納した2万超の語彙こそ、長年の絶え間ない語彙獲得の努力にもかかわらず定着しなかった語彙であり、だからこそ半永久的な復習を繰り返して2度と忘失することのないようにしているわけです。 「塔」 以外の語彙は意識的に復習しないでも維持可能です。

以上、何かの参考にしていただければうれしいです。

これからもよろしくお願いいたします。

Thank you.

| | Comments (3) | TrackBack (1)

カードの作成法その他について

(http://sanshisuimei.cocolog-nifty.com/_the_tower_of_antibabel/2008/08/post_b9e9.html に Kozo さんが寄せてくださった comment に答えて)

Kozo さんへ

こんにちは。 ごぶさたです。

> ・・・メンバーも1150名となり、「アンチ・バベルの塔」を建てようという人が続々と増えてきております。

ほんとうですか!? うれしいことです。

> ・・・具体的なカード作成手順が、ブログのどこに埋もれているかわからない・・・

わかりにくくて恐縮です。 以下にだいたいのやり方を書いておきますので参考にしてください。

----------------------------------------------
別にどんな方法でも構わないのですが、私は、以下のように実行しました。

① 使用カード:市販の情報カード 製品名は「LIFE 情報カード J880 B6 128㎜×182ミリ 無地 100枚で¥451」
② 教材:英英辞典 
自分が知らない単語や表現はもちろん、記憶があやふやなものもすべて、Aの項目からチェックし、「ワード」でカードに記入し、プリントアウトします。その後、パンチで綴じ穴をあけ、リングに通し、100枚単位で整理し、普段は重ねて置いておきます。
これで、まさに自分独自の単語帳=アンチ・バベルの塔が徐々に高くなってゆくわけです。
③ ワード文書の設定
「ページの設定」は次のようにします。
用紙:182㎜×128ミリに設定
余白:上下右をすべて6ミリ、左は20ミリ、とじしろは0、とじしろの位置は左(「ページの設定」の途中で修正を要求されたら「はい」をクリックして指示通りにします)
文字方向:横書き
段数:2
文字数と行数:両方を最大に指定
1ページが2段組ですから、左ページにターゲットの単語や語句を書き、右ページの同じ位置にその各単語や語句の意味を英英辞典から書き写します。記憶しやすくするために日本語で意味を書き添える場合もあります。もちろん例文を加えるときもあり、その辺の工夫は都合しだいです。
④最大のポイントは、毎日復習を続けることです。新たにカードを作成する時間がないときは復習だけにします。
未知語彙が5000語~1万語を超える場合は、カードを先に完成して本格的な暗記作業はその後にするほうが効率がよいでしょう。

一般的な塔の工程については、http://sanshisuimei.cocolog-nifty.com/_the_tower_of_antibabel/2006/09/post_fde8.html を読んでください。

http://sanshisuimei.cocolog-nifty.com/photos/tower/image1.html はカードの写真です。

http://sanshisuimei.cocolog-nifty.com/_the_tower_of_antibabel/2006/03/post_21ed.html は多様な意見に対する塔主の考えを述べたものです。
-------------------------------

なお、カード自体あるいはカードに代替するものはいろいろあるはずです。 したがって ― 「塔」のカードは私にとっては最高のツールですが ― みなさん各自に最適化された 「カードあるいはその代替手段」 を工夫できれば最高でしょう。 そして何よりも大事なことはその工夫を生かして実際に目標を達成することです。 アイデアばかりでは意味がありません。

そして、銘記すべきことは忘れても忘れても忘れても忘れても忘れても忘れても忘れても忘れても暗記活動を持続することです。 

そうすれば、忘却というとんでもない強敵もやがて退散します! 頭筋トレにもなります。

ただし ― 1定のレヴェル(各自に異なるので具体的な語彙数などは言えない)を超えた語彙に関しては ― 半永久的に復習しないと忘却いう名の不死身の強敵は音もなく攻撃を再開します。

いやでたまらなくなったらどうするか? 北京五輪柔道金メダルの内柴選手の言葉 「大幅な夏休みを取りたい。夏休みの後、柔道にまだ熱いものがあればやるし、うんざりしてれば辞めるかも 」 がおもしろい。

よろしくお願いします。

Thank you.

| | Comments (4) | TrackBack (0)

ちょっとひとこと(3)

「(上級)学習(英英)辞典」で「塔」を完成させたからといって未知語彙や未知の事柄がなくなることなどありえないことはこれまでに何度も述べてきたことです。 そんなことは当然のことなのに誤解する向きも多くて書かざるを得ない。

「塔」の完成はその未知の事柄に対処する前提なのです。

その前提 = 雑誌や新聞その他の英語の情報源で使用される語彙の98%超が既知語彙であること
。 98%超の語彙 (専門・業界用語などは除く) があってはじめて 「無理のない読書」 や 「多読を通じての語彙強化」 が可能になる。

私が「塔」を完成させたのは何のためか?

いろいろありますが主要なものを2つあげておきましょう。

1 英語で普通にものを読めるようにするため

英語で普通にものを読むとはどういうことか?

日本語でものを読むのと同様な容易さであるいは日本語でものを読むのと同様な困難さで英語でものを読むということです。 その際に必ず未知語彙(全体の語彙の2%未満)が出現することは日本語で読む場合と同じ。

2 日本語の『広辞苑』などの辞書やその他の日本語の情報源を利用するのと同様にネイティヴ・スピーカー用に編纂された 『The American Heritage Dictionary of The English Language』 などの辞書やその他の英語の情報源を利用できるようになるため

「学習英英辞典」は、英語で普通にものを読むために「ぜひとも暗記すべき必須語彙」を提供してくれる最高のツールであって、決して 『The American Heritage Dictionary of The English Language』 などの英英辞典やその他の情報源の代わりになるものではない。

しかし、「塔」を完成すれば1や2が可能になります。換言すれば、英語での知的活動の前提が整うことになる。その際、日本語の教養も寄与して相乗効果を発揮することはいうまでもありません。

せいぜい5000~1万~1万5000程度のしかも市販の語彙集レヴェルの語彙力しかない人たちが「(上級)学習(英英)辞典」を暗記しても英語でものは読めないなどと知ったようなことを言う。

実際に 「学習(英英)辞典」 に精通している人なら口にしないナンセンス。

「学習辞典」のレヴェルに達した人は ― 日本語での教養も寄与して ― ネイティヴ・スピーカー用の辞書を自由に利用することができるし、多様な英語の情報源に容易にアクセスできる。英和辞典や英語に関する参考書の利用さえ深化あるいは進化する。

「学習辞典」レヴェルを前提にしてこそ、豊穣な知的世界が開けるのです。 

| | Comments (1) | TrackBack (0)

« July 2008 | Main | September 2008 »