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それぞれの人の「アンチ・バベルの塔」(2)

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私は「塔」に関して次のように考えている。

(1) そもそも「塔」など不要な人も多い。

(2) 人によって、「塔」に搭載される英語の語彙の質・量は異なる。

(3) しかし、(1)や(2)の立場は固定されたものではなく、将来変化する可能性を有したものである。

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(1) について(その2)

「塔」など不要だと感じる人たちの大半は下記のクリストファー・ベルトン氏の主張を容易に受け入れられる人たちだと思う。

クリストファー・ベルトン著 『英語は多読が一番!(ちくまプリマー新書)』 を読むと 「単語の5段階分類」 という1節があって次のように単語を分類している。 ただし、この中には単語と同様に重要な熟語・イディオム・スラングその他のチャンク表現の例は含まれていない。

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(1) 使用頻度が高い語
(例) I, me, you, she, her, he, him, they, the, a, be, is, are, was, do, will, in, out, on, come, go, give, take, etc.

(2) 使用頻度が中ぐらいの語
(例) mouth, hand, car, tree, walk, sit, stand, eat, drink, run, climb, happy, calm, beautiful, ready, very, fast, slow, etc.

(3) 使用頻度が低めの語
(例) examination, highway, station, calculator, groan, describe, confirm, release, humid, equal, bright, sadly, cautiously, comfortably, etc.

(4) 使用頻度が低い語
(例) cartridge, armoury, dungeon, axel, distil, plough, gyrate, degenerate, grotesque, exponential, solitary, tremulously, tartly, sanctimoniously, etc.

(5) 使用頻度が非常に低い語
(例) histogram, underwriter, insurgent, sediment, purge, disseminate, regurgitate, defibrillate, etc.
rgent, sediment, purge, disseminate, regurgitate, defibrillate, etc.

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クリストファー・ベルトン氏は ― 外国語の教師となりうるもののうち、「物語の本」に匹敵するものはありません ― と述べて、多読を奨励し、「辞書の使いすぎは逆効果」で、(4)の使用頻度が低い語や(5)の使用頻度が非常に低い語の意味を調べる必要はないとしている

つまり ― 私の理解するところによれば ― (4)や(5)のレヴェルの語彙は覚える必要はないということになる。 結局、(4)や(5)の語彙は生涯身につかないわけだ

私はそれは 「とんでもないことだ!」 と考えている。(1)(2)(3)のレヴェルの語彙だけでは(ネイティヴ・スピーカーなら)8歳ごろから楽しめる 『ハリー・ポッター』 でさえスラスラ読めない。 ましてや成人用の物語など読めない。

それで満足な人は何の問題もない。 

しかし、私は嫌だった。 「中級学習(英英)辞典」たとえば 『ロングマンアメリカ英語辞典』 にほぼすべて掲載されていて「上級学習(英英)辞典」にはすべて掲載されているような ― つまり普通に教養のあるネイティヴ・スピーカーならだれでも知っているような語彙を生涯知らないままに過ごす事など考えられなかった。いくらクリストファー・ベルトン氏が「そんな語彙は知らなくてもかまわないよ」といっても「あなたはみんな知っているでしょう。そんな語彙で自由に書いたりしゃべったりさえできるでしょう」と思うからである。

日本語の(4)や(5)レヴェルの語彙を知らずして夏目漱石や京極夏彦が楽しめようか? 決して楽しめない。

そして、「中級学習(英英)辞典」で「塔」を建てて(4)(5)の語彙をほぼすべて覚えることは ― 年単位で取り組めば ― 不可能なことでもなんでもない

追記:今回の話は別にして、クリストファー・ベルトン著 『英語は多読が一番!(ちくまプリマー新書)』 はいろいろと参考になる。 皆さんにも、立ち読みだけでも、お勧めしたい。 「塔」 に劣らず多読も大事なことは何度も言及した通り。

「塔」と「多読」は互いに相容れないものでは断じてない

「塔」は読書を十全に楽しむために建てるものであり、読書を楽しめば楽しむほど「塔」への信頼がゆるぎないものとなり、「塔」は輝きを増す。

その輝きが「塔の崩壊」を食い止める「復習意欲」を持続させ、「塔載語彙」の暗記を限りなく100パーセントに近づけていく!

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