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それぞれの人の「アンチ・バベルの塔」(1)

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私は「塔」に関して次のように考えている。

(1) そもそも「塔」など不要な人も多い。

(2) 人によって、「塔」に搭載される英語の語彙の質・量は異なる。

(3) しかし、(1)や(2)の立場は固定されたものではなく、将来変化する可能性を有したものである。

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(1) について:

各人が必要とする語彙力は各人が満足できるレヴェルの語彙力である

私はこのブログを書きながらそれを痛感するようになった。たとえば、今英検2級合格程度の語彙力があってそれで不満のない人もいる。そんな人は既知語彙の範囲で英語に対処してほとんど不満がない。

また、英検準1級合格レヴェルの語彙力の人もいて、それで満足な人ももちろんいる。専門分野の英語を習得すれば論文も読み書きできるし慣れればプレゼンテーションや多少のディスカッションもできる。

あるいは英検1級合格あるいはそれを超えるレヴェルの語彙力の人もいて、それで満足な人もいる。たいていのことはできると思っていて実際たいていのことを英語でこなしている人も多い。その人なりにこなすことができていてご本人はそれで格別の不満を感じていない。

そんな人たちに「塔」の話をしてもさっぱり受けない。「語彙オタク!」という反応になる。「お前は語彙さえあれば何でもできると思っているのか!?」というような私にすればとんでもない感想をもらす人もいる。 

そんな人たちが「塔」など建てようとは思わないし、思わないどころか強く反発する人もいる。「多読」とか「推測読み」とか「単語帳で十分」とか「文化の理解」とか ― それぞれにちゃんとした効果もあるから当然のことでもあるが ― いろいろ他の手段を強調する人も多い。

「そもそも語彙数などどのように計算するのか?」と不毛な議論を持ち込む人もいる。私が「上級学習(英英)辞典」を基に2万語超の語彙を新たに獲得したなどというと「計算が合わないぞ」と激しく追及する人もいる。ならば「上級(英英)学習辞典」をじっくり見たらいやでもどんな語彙がどれだけあるのか一目瞭然なのに不思議にそんなことをする人はまれで数あわせばかりにご執心である。 他方、あんなに反発するのは自分の語彙にかなり不満であることの証明なのかとも思う。 ほんとうに不満がない人なら「塔」などにわざわざ来ないだろうと推測するからである。 また、「塔」を凌駕する方法で「塔」を越える成果を確実に産み出している人なら反発ばかりしていないでその方法を教えてくれるはずだと思う。 

いずれにせよ、私は、人それぞれに考え方が違って当然だと思っている。だれもが同じように考えるとしたら異常だ。そして、「必要も感じないことを実行する」人はいない。お付き合いですることではまったくないし、他にするべきことはいくらでもある。

「塔」のすばらしさは建ててみなければ分からないけれど、何も不満のない人にとってそのすばらしさは蜃気楼に過ぎない

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