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学習辞書=必要十分な語彙レヴェル・続

学習辞書=必要十分な語彙レヴェル英語のネイティヴ・スピーカーの語彙レヴェル」という指標は、従来のボキャビル=語彙強化論にはまったくなかったものです。

英語のネイティヴ・スピーカーの英語の語彙数はどれくらいかという議論はあちこちで、ときにはたいへん熱心に、行なわれています。

しかし、言語学者でもない一般の英語学習者がそんな議論をしてもほとんど意味がない。

第一、英語のネイティヴ・スピーカーの英語の語彙数など正確に数えようがない。基準がないからである。

だから、だいたい5~10万語だと思っていればよい。あるいは、個人差や数え方の違いを考慮して、2~20万だとしてもよい。ざっくり5万語ぐらいだとしてもよい。その程度の認識で十分である。

そんな議論に浪費する時間があるならひとつでもふたつでも語彙を覚えたほうがはるかに有益だし精神の健康にもよい。

ただし、どんな語彙を覚えたらよいのかという目標は欠かせない。

語彙強化で目標がないのは、果てしない語彙の巨大な森に迷い込むようなものでしょう。

今生きている人たちは、年齢にかかわらず、共通の語彙世界に生息しています。

その共通の語彙世界の広がりは果てしのないものですが、生きていくに必要十分な語彙には明らかに限りがあります。老若男女に共通して必要十分な語彙がある

それこそが語彙強化の目標にすべき語彙です。その他の新出語彙や専門・業界語彙やスラングや流行言葉などには、必要十分な語彙さえ習得できていれば、難なく対処できます。私たち日本人が、日本語の新出語彙や専門・業界語彙やスラングや流行言葉などに、各自の関心・必要性に応じて、うまく対処できているのとおなじです。関心や必要性があれば習得すればよいし、そうでなければ無視しても何ら困ることはない。

しかし、必要十分な語彙はぜひ必要である。それを欠くと、言語生活の質・量が著しく損なわれる。たとえば本・雑誌は満足に読めないし、人の話も、日常会話レヴェルを超えると、分からなくなる。

英語の語彙強化で正しい目標を設定することは簡単です。それは、中級あるいは上級学習(英英)辞書の語彙習得です

コーパスに基づいた学習辞書の語彙を覚えることほど安全で効率的な語彙強化法はありません。中級辞書を選ぶのか上級辞書を選ぶのかの選択は各自の判断になります。まず、中級辞書からという発想もあります。

( もちろん、その段階にいたるまでに、市販の語彙集などで語彙強化を実行してターゲットにする学習辞書の語彙の50%ぐらいはだいたいは既知のものにしておくという前提はあります。そうでなければ学習辞書レヴェルの語彙習得は無謀な試みになります。)

学習辞書から未知の語彙を抽出してそれを数年~10年~20年かけて覚えていく。その間、多読・多聴や精読・精聴やその他の言語活動も積極的に行う。

学習辞書=必要十分な語彙レヴェル英語のネイティヴ・スピーカーの語彙レヴェル」という認識は、気持ちを軽くしてくれます。

目標が、約1000ページ(中級学習辞書)あるいは約2000ページ(上級学習辞書)という、目に見える、具体的でしかも客観的に妥当なものになるからです

もはや、到達すべきレヴェルで不安になることはないのです。着実に前進するのみです。

Happy learning !

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学習辞書=必要十分な語彙レヴェル

私が「塔」と過ごしながら思うのは、普通の英語学習者にとって、「語彙強化の最終目標は、現代英語の標準的な語彙力をつけることなのだ」ということです。

換言すれば、「英語のネイティヴ・スピーカーの語彙力に肉薄すること」です。

日本人なら日本語のネイティヴ・スピーカーの語彙力を習得しています。個人差がたいへん大きいとはいえ、各人なりに日本語圏で生きてゆける語彙力を習得しています。

英語を学習する以上、できれば英語圏でも生きてゆける語彙力を身につけたいと思うのは自然なことでしょう。

私の場合は、まず、日本語で読書を楽しめるのと同様に英語でも読書を楽しめるようになりたかった。「塔」によってその願いが実現したわけです。

「塔」の永久復習を続けることによって、英語での読書の土台となる語彙力が維持される。「塔」の語彙力のおかげで日本語の 『広辞苑』 に匹敵する英語のネイティヴ・スピーカー用の辞書を利用することもできるし英語の新語にも対処できる。「塔=英語のネイティヴ・スピーカーの語彙レヴェル」のおかげで現代の英語圏の動向を翻訳を介さずに把握できる。

それがどうした!? という議論があることも十分承知しています。関心のない人にとってはそんなことはどうでもいいことでしょう。たかが英語の習得に何千時間も何万時間も費やす価値がどこにあるのかという疑問を持つ人が大半であってもそれは十分に納得できることです。人生には他にすべきことがふんだんにある。そのとおりです。

他方、英語の語彙習得の明確な基準として「学習辞書の暗記」を提案することには大きな意義があると思っています。

今まではそんな基準を示す人もいなかったしその基準に達する具体的な方法を提案・実践した人もいませんでした。

英語のネイティヴ・スピーカーに匹敵する(といっても英語圏のごく普通の人たちの語彙レヴェル達するだけのことで時間がかかる割にはまるでたいしたことではないのですが)あるいはそれをはるかにしのぐ語彙力をつけた日本人は少なくないし、そんな人たちはそれぞれにしかるべき語彙習得法を確立・実践していたことでしょう。

しかし、それを公にしてくれた人はいないように思います。具体的に示してくれた人はいないと思います。

そんな状況で、「学習辞書の暗記が英語で読書を楽しめる必要十分な語彙力を養う最適の方法である」と提案できたことは、ささやかながら何らかの意義はあったと、少なくとも語彙強化法の具体的なテーマを提供できたと感じています。

素晴らしく進化した「学習英英辞典」及びそれを追走して利便性を増す「学習英和辞典」の出現を語彙強化に利用しない手はないでしょう。

学習辞典」=「現代英語の標準的な語彙レヴェル」という図式は否定しがたいものだし、それに代替するものはありません。

「学習辞典」は引くツールであると共に暗記の対処でもあるという観点にもっと注目が集まればといつも念じています。

「学習辞典」にあまり縁がない人はまず拾い読みすることから始めてみてはいかがでしょう。

あなたの前にある「学習辞典」こそ、数年~10年~20年かけてマスターする価値のある最も完成度の高い語彙強化ツールなのです。

英語で音楽・読書・映画などを楽しみながらあるいは英語でいろいろな情報を得ながら時には英語圏の友人と交流しながら、できる限り「学習辞典」の利用も欠かさないようにする。目の前にある「宝」を持ち腐れにしないようにする。そして、必要十分な語彙をあわてずあせらず習得する。

「中級学習英英辞典」レヴェルの語彙に匹敵する「中級日本語辞典」があるとすれば(実際はありません。日本語の学習辞書は英語学習辞書に比較すれば残念ながらかなり完成度が低い)その程度の日本語の語彙は日本人ならそれこそほとんどだれでも知っている(まあそうでもない人もいますが)語彙ばかりです。だから、「辞書なんか暗記して一生お目にかかれないような語彙を覚えても仕方ない!」というのは明らかな誤解です。覚えるべきは「いわゆる辞書(日本語であれば広辞苑など)」ではなく学習辞書です。もっと分かりやすく言えば、たとえば中級学習英英辞典は日本語の小学生用国語辞典」に近いものです。

関連記事:http://sanshisuimei.cocolog-nifty.com/_the_tower_of_antibabel/2005/02/52005.html

Happy Learning !

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2010年新年あけましておめでとうございます。

21世紀も10年目の幕が開きました。

新年も、みなさまにとって健やかで明るい年になりますよう、心からお祈り申し上げます。

私のブログは、絶えざる復習によって「塔」が堅固になればなるほど、あらたに書き加えることもあまりなく、光陰は矢の如し。

他方、英語の語彙強化ツールとしての「アンチ・バベルの塔」のアイデアは、英語学習者の間に地味にしかし着実に広まりつつあります。

「塔」とは、ひとことで言えば、「現代英語の必須語彙の(「塔」作成時における)未知語彙集」です。

その必須語彙は、(1)(中級学習辞典)たとえば 『Longman Dictionary of American English Intermediate』 や、それで不満な場合は(2)(上級学習辞典) たとえば 『Longman Dictionary of Contemporary English for Advanced Learners』 に搭載されている語彙です。(1)(2)のいずれを選ぶかは各人の判断によります。

英系の辞書であるか米系の辞書であるかによって、語彙選択や語義記述に多少の差はありますが、「覚えるべき現代英語」 の全体を記述していることに変わりはありません。

念のために、あるいは珍しくない誤解を避けるために、述べておきたいことは、「塔」の完成によって未知語彙がなくなることなどあり得ない」ということです。

(1)や(2)の辞書の語彙を全て既知のものにすることの意義は、英語のネイティヴ・スピーカーの語彙レヴェルに肉薄することであって、未知語彙をゼロにすることではありません。

私たち日本人が日本語でものを読む際に時として辞書を利用したり、あるいは、新出語彙の既知化に努めたりしているように、英語のネイティヴ・スピーカーも辞書を利用したり新出語彙の既知化に努めたりしているわけです。

(1)や(2)の語彙を既知化することは、時には辞書を利用し時には新出語彙の既知化に努める英語のネイティヴ・スピーカーの語彙レヴェルに肉薄することであって、未知語彙を皆無にすることではありません。

その他にも、いくつか気になる議論があります。

まず、学習辞書の見出し語に関する議論です。

特に、見出し語の数を云々する人たちが多いこと

見出し語その他の語彙の数を正確に明言した辞書は皆無ですが、それはたいして重要なことではありません。文法・構文・音声のマスターを前提に (1)や(2)の辞書を征服することによって、日本語で読んだり聞いたりするのと同様の容易さで、英語で読んだり聞いたりできるようになるわけで、そうなることが「塔」建設の目的なのですから、ターゲット辞書の登載語彙の正確な数を気にする必要はありません。英語のネイティヴ・スピーカーの語彙レヴェルはだいたい(1)や(2)の語彙レヴェルだと認識しておけば十分です。だいたいの数字をいうなら5万~10万です。

語彙強化の目的は、言うまでもないことですが、語彙を強化することです。

もっと端的に言えば、必要語彙(知っておくべき単語・熟語・スラングその他のチャンク表現など)を覚えることです。

必要語彙数を特定することではありません。

語彙数を特定しなくても、中級あるいは上級の学習辞典の登載語彙必要語彙 を覚えたらそれで十分です。その数およそ5~10万ですが、それを正確に求める必要などありません。

そんなことを議論する時間があるならひとつでも余計に必要語彙を覚えたほうがはるかに有益です。目の前に信頼に足るターゲット(学習辞書)があるのだからあとはその登載語彙を覚えればよい。気になる人はその数を自分で数えたら済むことですが、それこそ貴重な時間の浪費でしょう。

次に、見出し語には派生語などが多いから実際に覚える必要のある語彙数はずっと少なくなると考えている人が多いこと

そんなことはありません。語源・派生その他で正確に類推が可能であれば、(学習辞書と言えども)いちいち項を改めて見出し語にすることはない。

たとえば、『Longman Dictionary of Contemporary English for Advanced Learners』 に記載されている、"collect" という語彙ですが "collect" 自体が3つの見出し語になっていて、そのあとに "collectable"、"collect call"、"collected"、"collection"、"collection plate"、"collective"が2つ、"collective bargaining"、"collective farm"、"collectively"、"collective noun"、"collectivism"、"collectivize"、"collector"、"collector's item"と続きます。

同じあるいは同じような語彙であっても、語義やコロケーションその他で、別個に記述したほうが良いから別の見出し語にしているわけで、意味もなく見出し語を増やしているのではありません。

語源・派生その他ですべて意味が類推できるならたいへん助かるのですがそうでない場合も多々あります。だから、個々の見出し語の記述をていねいに読むことが大事なのです。語源が分かれば同系列の語彙の意味がすべて類推でき、派生語は基の語彙さえ知っていれば全て理解できる、などと唱えるのは実際に語彙強化に取り組んだことのない人たちです

実際に辞書を読んでみる。そうすれば、見出し語の数にこだわる気持ちはなくなるでしょう。

それから、 相変わらずの 「多読すれば語彙が増える」 という議論です。

英語で多読する目的は、娯楽や情報収集や新語の獲得やコロケーションに慣れることなどさまざまです。しかし、「語彙」の強化の手段にはあまりなりません。

『AERA English 2010年2月号』 の特集は「あの人の単語増強法が知りたい!」ですが、その中に原賀真紀子さん(ジャーナリスト・東工大非常勤講師)の「kindleどう使ったら効果的?」という記事があって、原田さんは「いくら多読しても読みっぱなしでは語彙が増えないが・・・」として辞書の利用を勧めておられる。これは、日常的にものを読んでいる人ならだれでも感じることでしょう。ちなみに、原賀真紀子さんの映像は http://www.youtube.com/watch?v=xLXo0lLxosA など。

私は 「塔+多読・多聴そして時に精読・精聴」が最善だと確信しています。

「搭載語彙」 は覚えるべき語彙のうちで自分が未知・不確かであった語彙です。それを永久復習して必要な語彙レヴェルを維持する。並行して多読・多聴そして時に精読・精聴する。

「搭載語彙」の征服にあせることはありません。人によって、数年~10年~20年でOKです。その成果は巨大です。やってみれば (具体的な方法は問いません。たとえばカード作成は必須ではなく代替法はいくつかあるでしょう) 分かりますよ。

本年もよろしくお願いします。

Happy learning !

Thank you.

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