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2010年新年あけましておめでとうございます。

21世紀も10年目の幕が開きました。

新年も、みなさまにとって健やかで明るい年になりますよう、心からお祈り申し上げます。

私のブログは、絶えざる復習によって「塔」が堅固になればなるほど、あらたに書き加えることもあまりなく、光陰は矢の如し。

他方、英語の語彙強化ツールとしての「アンチ・バベルの塔」のアイデアは、英語学習者の間に地味にしかし着実に広まりつつあります。

「塔」とは、ひとことで言えば、「現代英語の必須語彙の(「塔」作成時における)未知語彙集」です。

その必須語彙は、(1)(中級学習辞典)たとえば 『Longman Dictionary of American English Intermediate』 や、それで不満な場合は(2)(上級学習辞典) たとえば 『Longman Dictionary of Contemporary English for Advanced Learners』 に搭載されている語彙です。(1)(2)のいずれを選ぶかは各人の判断によります。

英系の辞書であるか米系の辞書であるかによって、語彙選択や語義記述に多少の差はありますが、「覚えるべき現代英語」 の全体を記述していることに変わりはありません。

念のために、あるいは珍しくない誤解を避けるために、述べておきたいことは、「塔」の完成によって未知語彙がなくなることなどあり得ない」ということです。

(1)や(2)の辞書の語彙を全て既知のものにすることの意義は、英語のネイティヴ・スピーカーの語彙レヴェルに肉薄することであって、未知語彙をゼロにすることではありません。

私たち日本人が日本語でものを読む際に時として辞書を利用したり、あるいは、新出語彙の既知化に努めたりしているように、英語のネイティヴ・スピーカーも辞書を利用したり新出語彙の既知化に努めたりしているわけです。

(1)や(2)の語彙を既知化することは、時には辞書を利用し時には新出語彙の既知化に努める英語のネイティヴ・スピーカーの語彙レヴェルに肉薄することであって、未知語彙を皆無にすることではありません。

その他にも、いくつか気になる議論があります。

まず、学習辞書の見出し語に関する議論です。

特に、見出し語の数を云々する人たちが多いこと

見出し語その他の語彙の数を正確に明言した辞書は皆無ですが、それはたいして重要なことではありません。文法・構文・音声のマスターを前提に (1)や(2)の辞書を征服することによって、日本語で読んだり聞いたりするのと同様の容易さで、英語で読んだり聞いたりできるようになるわけで、そうなることが「塔」建設の目的なのですから、ターゲット辞書の登載語彙の正確な数を気にする必要はありません。英語のネイティヴ・スピーカーの語彙レヴェルはだいたい(1)や(2)の語彙レヴェルだと認識しておけば十分です。だいたいの数字をいうなら5万~10万です。

語彙強化の目的は、言うまでもないことですが、語彙を強化することです。

もっと端的に言えば、必要語彙(知っておくべき単語・熟語・スラングその他のチャンク表現など)を覚えることです。

必要語彙数を特定することではありません。

語彙数を特定しなくても、中級あるいは上級の学習辞典の登載語彙必要語彙 を覚えたらそれで十分です。その数およそ5~10万ですが、それを正確に求める必要などありません。

そんなことを議論する時間があるならひとつでも余計に必要語彙を覚えたほうがはるかに有益です。目の前に信頼に足るターゲット(学習辞書)があるのだからあとはその登載語彙を覚えればよい。気になる人はその数を自分で数えたら済むことですが、それこそ貴重な時間の浪費でしょう。

次に、見出し語には派生語などが多いから実際に覚える必要のある語彙数はずっと少なくなると考えている人が多いこと

そんなことはありません。語源・派生その他で正確に類推が可能であれば、(学習辞書と言えども)いちいち項を改めて見出し語にすることはない。

たとえば、『Longman Dictionary of Contemporary English for Advanced Learners』 に記載されている、"collect" という語彙ですが "collect" 自体が3つの見出し語になっていて、そのあとに "collectable"、"collect call"、"collected"、"collection"、"collection plate"、"collective"が2つ、"collective bargaining"、"collective farm"、"collectively"、"collective noun"、"collectivism"、"collectivize"、"collector"、"collector's item"と続きます。

同じあるいは同じような語彙であっても、語義やコロケーションその他で、別個に記述したほうが良いから別の見出し語にしているわけで、意味もなく見出し語を増やしているのではありません。

語源・派生その他ですべて意味が類推できるならたいへん助かるのですがそうでない場合も多々あります。だから、個々の見出し語の記述をていねいに読むことが大事なのです。語源が分かれば同系列の語彙の意味がすべて類推でき、派生語は基の語彙さえ知っていれば全て理解できる、などと唱えるのは実際に語彙強化に取り組んだことのない人たちです

実際に辞書を読んでみる。そうすれば、見出し語の数にこだわる気持ちはなくなるでしょう。

それから、 相変わらずの 「多読すれば語彙が増える」 という議論です。

英語で多読する目的は、娯楽や情報収集や新語の獲得やコロケーションに慣れることなどさまざまです。しかし、「語彙」の強化の手段にはあまりなりません。

『AERA English 2010年2月号』 の特集は「あの人の単語増強法が知りたい!」ですが、その中に原賀真紀子さん(ジャーナリスト・東工大非常勤講師)の「kindleどう使ったら効果的?」という記事があって、原田さんは「いくら多読しても読みっぱなしでは語彙が増えないが・・・」として辞書の利用を勧めておられる。これは、日常的にものを読んでいる人ならだれでも感じることでしょう。ちなみに、原賀真紀子さんの映像は http://www.youtube.com/watch?v=xLXo0lLxosA など。

私は 「塔+多読・多聴そして時に精読・精聴」が最善だと確信しています。

「搭載語彙」 は覚えるべき語彙のうちで自分が未知・不確かであった語彙です。それを永久復習して必要な語彙レヴェルを維持する。並行して多読・多聴そして時に精読・精聴する。

「搭載語彙」の征服にあせることはありません。人によって、数年~10年~20年でOKです。その成果は巨大です。やってみれば (具体的な方法は問いません。たとえばカード作成は必須ではなく代替法はいくつかあるでしょう) 分かりますよ。

本年もよろしくお願いします。

Happy learning !

Thank you.

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