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コメントにお答えする(1/2010)

HSE さん、はじめまして。

日々春めいて、庭には数種の梅が色合いも様々に咲きそろい、ウグイスの声も聞こえてくるようになりました。

かくして4季はめぐりますが、塔主にとってはいつも変わらぬ、楽しいルーティンがあります。それは、いうまでもなく、「搭載語彙の永久復習(ほぼ毎日、30分~1時間)」です。

HSE さんは、「塔」をきっかけにして辞書を読みはじめ、その体験にもとづく貴重なコメントを寄せてくださいました。

私のブログをちゃんと読んで、何かを感じていただけることは、ほんとうにありがたいことです。

HSE さんのコメントに、「塔主」の感想を、類似のことに関して今までに何度も書いてきましたので繰り返しになりますが、縷々述べさせてください。

あくまで、「塔主」の体験に基づいた私見に過ぎませんからその旨ご了解ください

>自分の好きな本や映画に出てくる単語を覚えることと比較すると、やはり無味乾燥な感が否めません。

「塔」の目標は、英語の本や映画の未知語彙の出現頻度を、日本語の本や映画の未知語彙の出現頻度にまで低下させること、つまり、英語のネイティヴ・スピーカーの語彙レヴェルまで、自分の英語の語彙レヴェルを高めることです。

したがって、「塔」を完成させた者にとって、本その他は、もはや語彙学習のツールではなく、情報収集や学問や娯楽に資するものです。

もちろん、日本語の場合とまったく同じで、情報収集や学問や娯楽を通じて新たな語彙や概念を習得したり、お気に入りの文句を音読しながら暗記したり、することはあります。国語や漢字の辞書を利用することも別に珍しいことではありません。しかし、本その他が、HSE さんがおっしゃるような語彙学習のツールになることはありません。

また、英語の原文と正確で流暢な和訳の両方を精読することはあります。ちゃんとした英語をちゃんとした日本語に翻訳したらどうなるのか、一流のプロの仕事を真似し学ぶためです。

逆に、日本語の原文と正確で流暢な英訳の両方を精読することもあります―たとえば、村上春樹の小説とその Jay Rubin 氏による英訳を精読します。実に楽しく有意義な作業です。

これは、時間はかかりますが、英・日公認の訳語を覚えるためでもあります。

しかし、本その他を、HSE さんがおっしゃるような語彙学習のツールにすることは、今は、もうありません。

HSE さんが考えておられるあるいは実行しておられる語彙習得法は、おそらく全て、(「塔方式」を発明する前に)私も長年実行してきたものです。かなりの効果もありました。

しかし、それを続けていてもネイティヴ・スピーカーと同じ認識語彙レヴェルに達する可能性はほとんどゼロに思えました。キリがないと感じていたわけです。

実際キリがありません。ここまで覚えればよいという明確な基準(=ネイティヴ・スピーカーのレヴェル)もその基準レヴェルを達成するに要する時間数も分らないままに生涯同じような作業を続け、日本語とは程遠い英語の語彙力で一生を終えることになります。そういう意味では、極めて効率が悪い、というより、いつまでたっても学習者レヴェルを超えることがないやり方ということになります。

ちなみに、「塔」は非常に地道な努力を要するプロセスですが、無味乾燥でも何でもありません。真剣にやればやるほど病みつきになるほど面白いものでもあります。

そうでなければ、(カードは全部で3580枚で100枚毎にリングでまとめて1セット(塔の1階)とし、塔の高さは35.8階(高さ約67センチ)です。搭載語彙数は約2万語で 『Random House Webster Intermediate English Dictionary (522ページ)』『Cambridge Advanced Learner's Dictionary (1571ページ)』から選択した語彙です) というような作業は続けることは不可能だったでしょう。

>「文脈」というサポートがない分覚えにくいのです。

正直に言いますと、(「文脈」というサポートがない分覚えにくい)というのは、ひとつの強固な信仰のようなものだと考えています。

学習英英辞典には例文がたっぷりあります。語義の記述も概ね丁寧です。

たとえば、brazen sth out という表現の場合、
to act confidently and not admit that a problem exists
I decided to brazen it out and hoped they wouldn't notice the scratch on the car. という語義説明と例文で十分なサポートになります。無味乾燥ではまったくありません。

付随するCDーROMのコンテンツもすばらしく充実しています。英和辞典その他のツールの併用も可能です。Google で映像をチェックしさらにその映像をカードにプリントして印象を深くし記憶を助けることもできます。

さらに、学習辞書で習得した語彙は、英語で多読すればするほど頻繁に遭遇します ― そのこと自体(無意識ではありますが)習得語彙の復習になり記憶の強化になっています。

そして、暗記法はいろいろありますが、いったん暗記したものを定着させる方法はただひとつ、復習(方法は問いません)あるのみです。

>効率性を重視すると辞書暗記に軍配があがるとも考えておりましたが、これもマウスオーバー辞書やキンドルの辞書機能の活用によって、効率を大幅に上げることができます。紙の本VS辞書暗記では、辞書に軍配があがりますが、ネットやキンドルの登場で辞書暗記の比較優位は、相当に失われたと判断するに至りました。

HSE さんと「塔主」とでは、語彙強化のコンセプトがまったく異なっていると思います。

「塔主」の主張する語彙強化とは、ネイティヴ・スピーカーの認識語彙力に肉迫するレヴェルまで自分の英語の語彙力を高めることです。それに対し、従来の語彙強化法は、目標レヴェルが曖昧模糊として、ネイティヴ・スピーカーの認識語彙力にはとうてい達し得ないやりかたです。目標語彙を定めないあるいは定めようのないやり方です。

日本でいわゆる多読と称される英語での読書は、実は、非常な少読にすぎません。ましてや、未知語に注意しながら読む場合は、その読書量はさらに微々たるものになります。それで、学習(英英)辞典の質・量に匹敵する語彙を築くことはとうてい不可能でしょう。

ネイティヴ・スピーカーの認識語彙力に肉迫するレヴェルまで自分の英語の語彙力を高めそれを維持するために必要なことは、まず、(1)ここまで覚えればよいという明確な基準(=ネイティヴ・スピーカーのレヴェル)を定めること、次に、(2)その基準語彙群から未知語彙を選択してリスト化すること、次に、(3)その未知語彙を覚えること、そして、最後に、(4)覚えた語彙を半永久的に復習して忘れないように管理することです。

(1)で言う基準は主観的なものでは意味がなく、科学的客観的なもの(個々人の好みや知的傾向に偏ることのない万人に必要なもの)でなくてはなりません。コーパスが確立されるまでそんな基準を知ることは不可能でしたが、コーパスの出現によって可能になりました。

つまり、「中級学習(英英)辞典(約1000ページ)」あるいは「上級学習(英英)辞典(約2000ページ)」がその基準になります(辞典は紙であろうとオンラインであろうとその他どんなものであろうと形態は問いません)。

ただし、自分の趣味や専門用語または各業界の用語などは、各自の事情に応じて、別に習得する必要があります。それは、日本語の場合とまったく同じです。

そして、こうした語彙強化法の原理は、「紙の本VS辞書暗記」「ネットやキンドルの登場」などには、具体的な手法は別にして、まったく左右されない、ひとつの普遍的なものだと、「塔主」は確信しています(ただし、あくまでも私見です)。

具体的な方法は何でもかまいません。「紙のカード」を使う私の方法はその1例にすぎません。

以上、何かの参考にしていただければ幸いです。

肝心なことは、HSE さんが自分で満足できる語彙強化をすることであって、「アンチ・バベルの塔」はひとつのコンセプトとして了解いただければ十分です

Happy learning !

Thank you.

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Comments

お返事ありがとうございます。大変参考になりました。

>それを続けていてもネイティブと同じ認識語彙レヴェルに達する可能性はほとんどゼロ。キリがない

確かに出てくる単語を全部覚えようとしてはキリがないですね。私の場合は、出てくる新出語はポップアップ辞書ですべてチェックします(なぞるだけなのできわめて簡単)が、覚えるのは、三万語レベルのコーパスに出ている語だけです。これならば「キリがない」ということはありません。

>真剣にやればやるほど病みつきになるほど面白いものでもあります。そうでなければ、(カードは全部3580

確かに熱中しないとここまでの偉業は達成不可能ですね。ただ、生まれたときから電子辞書があるような世代にとっては、カードは我慢の限界を超えています。なさけないとも思われますが、ITを活用したほうがより効率的で、必要とされる忍耐も軽減できます。

>「文脈」というサポートがない分覚えにくい)というのは、ひとつの強固な信仰のようなものだと考えています。学習英英辞典には例文がたっぷりあります。

センテンスレベル以上の「文脈」は、辞書の性質上把握することは無理です。例文よりも、定義文に着目したほうが、あえて辞書で学習する意味が自分にはあります。

ポップアップ辞書で検索した単語はアルファベット順でエクセルに出力できるので、それを改めて、英英辞書の記述と照らし合わせて読んでいます。

多読では単語の網羅性に欠けるのでは?というのが心配でしたが、辞書暗記は、興味を持った本や映画がもたらす喜びと比べるとやはり単調なので、一日にこなせる分量が少なくなってしまいます。私の場合は、多読や映画なら、一日100個以上の単語を処理することが可能です。だから結果として辞書を直接暗記するより能率がいいです。特に映画の場合は、映像と音声の刺激が加わるので、非常に定着率がよいです。

Posted by: HSE | March 07, 2010 at 10:48 PM

HSEさんへ。

> 私の場合は、出てくる新出語はポップアップ辞書ですべてチェックします(なぞるだけなのできわめて簡単)が、覚えるのは、三万語レベルのコーパスに出ている語だけです。これならば「キリがない」ということはありません。

これはいいアイデアですね!みなさんの参考にもおおいになると思います。

IT活用にも大賛成です。私もいろいろ利用しています。便利な世の中になった ― それもドンドン進化する ― ものだと今昔の感しきりです。

Thank you.

Posted by: k.y. | March 07, 2010 at 11:35 PM

>IT活用にも大賛成です。

そうですね。ただ、もちろん紙の辞書にもすぐれたところはありますから、使ってます。なによりも一覧性にすぐれていますから。それでもロングマンの上級辞書になってくるとあまりにもCDROMの作りがすばらしいので、紙のほうはやめて、CDROMのほうを、あちこちクリックしてあそんでしまいます。しばらく耽溺してしまいます。紙の辞書を淡々と極める忍耐心はありませんが(だからだめなのか)、ロングマンのCDROMは本当にすごいし、おもしろい。これだったら、多読のほうをやめて、辞書暗記一本でやれるかもしれません。ITは昔だったら忍耐心を欠いて落伍者になっていたような人を引き上げてくれる力があります。洋画で英語字幕がでて、それを家庭でみれるなんていうのもよくよく考えるとびっくりするような変化です。これだけ恵まれていて英語を身につけられないというのは言い訳にもなりませんね。

Posted by: HSE | March 08, 2010 at 09:29 PM

HSEさんへ。

>なによりも一覧性にすぐれていますから。

そうなんです。一覧性はアナログ最大の利点でしょう。児童用の『Scholastic Children's Dictionary』などもすばらしい!イラストがまた大きくて正確で色彩豊かでそのイラストにも語彙がふんだんに添えられていてまあ楽しいこと!


>ロングマンの上級辞書になってくるとあまりにもCDROMの作りがすばらしいので、紙のほうはやめて、CDROMのほうを、あちこちクリックしてあそんでしまいます。

ご存知でしたか!ほんとうに遊んでしまいます。例文にも自然な音声がついているし、超優秀な英語の先生です。

ネットで欧米の大学の授業も自由に見聞きできるし、映像・音声媒体の発達のおかげで、今やありとあらゆることができる。夢のような世界ですよ、文字通り。足りないのは時間だけです。

>ITは昔だったら忍耐心を欠いて落伍者になっていたような人を引き上げてくれる力があります。

確かにそうなんですが、忍耐強く利用できる人は実は少ないのです。もったいないことです。

> 洋画で英語字幕がでて、それを家庭でみれるなんていうのもよくよく考えるとびっくりするような変化です。

超字幕なんて傑作ですよ。それもどんどんヴァージョンアップしてますます利便性が高まり、新ヴァージョンもダウンロードするだけでOK。昔に比べたらほんとうに別世界です。

> これだけ恵まれていて英語を身につけられないというのは言い訳にもなりませんね。

御意!!

ところで、HSEさんが映画に言及されて思い出したのですが、この間Lang-8で次のようなやりとりをしました。

日本の英語のリスニングの教材を見ると何でも聞き取れるような説明になっているのですが「そんなはずがないだろう」と私はいつも思っているわけです。それに関連するやりとりです。

私:I've been wondering how much native-speakers of English actually understand English film dialogues. Is it always quite easy to understand or sometimes, depending on the film, impossible or very difficult to follow what actors are saying? Would you mind telling me the extent of your listening comprehension? For me, it's really difficult to catch what they say, especially in war films and the like.

AJ :I usually have no problem understanding actors. But sometimes it's the actors fault. Some actors mumble a lot and it's hard to understand what they're saying. In a lot of films there are scenes where the actors are whispering and it's hard to hear them.

In war films and action movies, there are a lot of extra noises and people, right? Like explosions and all kinds of chaos, so sometimes what they say is drowned out, overpowered by other sounds in the film.

You usually wouldn't have those problems like that if you're speaking with somebody in real life, because you can always ask them to repeat what they said

dynamo116: I agree with AJ, we can understand most conversations unless there is a lot of background noise (like during a battle scene). Also, sometimes people use really big fancy words that we've never heard of...so those words would just fly over our heads and we ignore them. For example: a "Zero-Gravity Waste Distribution System" could be a fancy term for a "space toilet" lol. Also, accents play a big part in the comprehension process. I can understand most accents but sometimes the words get so slurred and botched that I have no idea what they're saying. I guess it all comes down to familiarity of the words. The more familiar you are with a word, the faster your brain is able to process it and recognize that sound when the word is spoken which then gets turned into meaning and so you understand the word. For native English speakers, we can recognize words in probably less than 0.1 seconds, but for those who are just starting out to learn English, it takes them 1 or more seconds to process the word...and by the time they actually figure out the meaning of that 1 word...the speaker will have said 10 new words already, so it all comes down with familiarity and ability to recognize words fast. It's just a weird brain thing. Everybody has this ability with their own native language. Nobody actually listens and thinks about what the words mean, they know them instantly because their brain has heard these words many many times. For those learning a 2nd or 3rd language, you have to listen and then translate...and then comprehend...it's such a long and arduous process!! I understand your feeling.
..
私:Thanks for your comments, Aj and dynamo 116.
I'm so encouraged and relieved to hear you refer to the fact that even native English speakers can sometimes have problems processing words said by actors. I think I know that I, a native Japanese speaker, have just the same problems with Japanese films as Aj and dynamo 116 do with English films. But when it comes to English, I somehow tend to think it's all my fault.

こんなことまで簡単にできてしまうわけで、テクノロジー万歳です。

目下、『The Lost Symbol』を読んでいます。

Have fun, HSE-san.

Thank you.

Posted by: k.y. | March 08, 2010 at 11:44 PM

lang8すばらしいサイトです。教えてくださってありがとうございます。

塔主さんの言語運用能力の高さにも感服しました。難しい言葉を覚えるとそれを使ってこれ見よがしに書いてしまいがちですが、やさしい単語を使って達意の英文を書かれているように思います。このような能力も辞書暗記で培われたのでしょうか。私は辞書を読むときは、自分が知っている語も読んでいたいたのですが、時間的都合から今は知らない語しか読んでいません。知っている語も定義文を改めて読むと発見があるので、読んだほうがいいのですが、まずは知らない語をなくすほうを優先しています。
ただ、定義文に使われている基礎単語はいやでも習熟するので、このやり方でもいいのではないかと思っています。基礎単語3000語をうまい具合に使い回せれば、英会話はかなりうまくいくのではないでしょうか。

Posted by: HSE | March 10, 2010 at 01:23 AM

HSEさんへ。

お褒めいただき恐縮です。

「塔」建設の際はターゲットの学習英英辞典を隅々まで読みつくしました。

基本語彙3千を真にマスターすることは ― そこそこ操れるだけでも(日常会話は実際はたいへん難しい)「俗にいう英会話」程度であれば十分でしょうが ― 生涯の課題になると思っています。

学術用語などは輪郭がはっきりしていて比較的扱いやすいのに対し、基本語彙はまさに変幻自在で捉えがたく、マスターするのは至難です。

英語でものを書くおもしろさに気付いたのは、20数年前にインタースクール(翻訳・本科で開始~プロ課終了)に通うようになって、ネイティヴ・スピーカーでプロ・ライターの添削を受けるようになってからです。自分の英文を書き直されることは以外に少なかったのですが、基本語彙やコロケーションなどに関してネイティヴ・スピーカーとの彼我の差をヒシヒシと感じました。自分のスタイルの偏向も意識するようになりました。

その後も、仕事・多読・精読・優れた英文を音読して暗記すること等々を通じて、コツコツと英文を書く訓練を続けてきました。費やした時間と費用も半端ではありません。

それだけやってその程度か?!という評価にはもう達観しています。遅々としたものであれ自分なりに進歩していることは確かです。ちなみに、昨夜は夢の中でも英文を推敲していました。

Thank you.

Posted by: k.y. | March 10, 2010 at 07:59 PM

こんにちは。2年ほど前に何度かコメントをさせていただき、それに対してフィードバックも戴いた者です。
当時私は大学1年で、スペイン語学習辞書での「塔」構築の野望に燃えており、その方法に関していくつかアドバイスを戴いたりしたのですが、諸事情によりスペイン語の学習を中止し、ドイツ語とフランス語とを学ぶ必要が生じたために、現在では独仏英の3カ国語を同時に勉強しています。
そこで再び質問させていただきたいことがあります。
以前「アンチバベル方式」を実践しその効果を実感している私は、今回も、つまり3カ国語の同時学習に際してもこの方法で語彙を増強したいと考えています。ですが1カ国語でさえ未知単語の抽出と書き取り、プリントアウトという手間がかかるものが3倍になると思うととてもではありませんが、実践は不可能と考えています(それに現在は大学入学時より格段と忙しくなっています)。
そこで「辞書丸暗記」という基本スタイルを保持したまま3カ国語を同時に遂行する際に負担を軽減させるための、何かお考えがおありでしたら(或いは実際に行われている方法がありましたら)是非とも教えていただきたく思います。
よろしくおねがいします。

Posted by: gento | March 10, 2010 at 09:02 PM

gentoさん、こんにちは。

月日が経つのはほんとうに早いですね。

>現在では独仏英の3カ国語を同時に勉強しています。

私も学生時代、英語の他、独仏語をNHKのラジオ・テレビ講座で2年間ほど学んでいた時期があります。

当時は往復はがきで問題の回答を提出すると先生(今やかなりの老学者)が丁寧に添削しコメントまでつけて返送してくださいました。今もそのはがきをテキストと共に大切に保管してあります。

しかし、その後まったく勉強しなかったためにもうほとんど忘れてしまって、覚えているのは発音の仕方とごくわずかな文章ぐらいです。なつかしい青春の思い出のひとつになってしまいました。

さて、本題。

本格的な「塔」建設が典型的に有効なのは、英語で言えば英検1級前後の実力があって音声に何ら問題がなく構文・文法もほぼマスターしている場合です。

gentoさんが、今(どの程度の実力をお持ちなのか不明なので的外れであればご容赦ください)、学習辞書暗記を実践するとしたら、音声・構文・文法の練習と並行して、初歩的な辞書の暗記がよいと思います。

しかし、数ヶ国語を同時に学ぶ人たちにとって最も参考になるのは実際にポリグロット(数ヶ国語に通じる人)になった人が記した学習法でしょう。私は、成功体験に基づかない学習論など読むに値しないと思っていますが、現実にポリグロットになった人の習得法は迫力があります。

そんな体験談の屈指の好例が、(以前にもこのブログで言及したはずですが)もはや伝説の人といってもよい種田輝彦氏の著書『20ヶ国語ペラペラ』(http://www.amazon.co.jp/gp/offer-listing/B000J97NHU/ref=dp_olp_0?ie=UTF8&condition=all)でしょう。

私の大切な蔵書の1冊ですが、40年ほど前に380円で買ったものが、今は何と6千円台で売りに出されている。びっくりです。

興味があれば、高価だし入手は無理かもしれませんので、図書館で捜してください。たいへん参考になる本です。

種田さんは「体験的速習術28項」として次のようなこと(見出しのみ)を書いておられます。

1 どんなことばもまず入門書から
2 初歩の時代には初歩の辞書を
3 はじめての単語を絶対忘れない方法
4 最初の千五百語暗記はていねいに
5 すぐ役に立つ五百の例文丸暗記
6 ブロークンは敵
7 単語集より自製のメモで
8 会話の第一歩は「ひとり言」
以下省略

英語だけに没入してしまった「塔主」には、gentoさんに何ら適切なアドヴァイスができません。

残念ですがご了解ください。

Happy learning !

Thank you.

Posted by: k.y. | March 12, 2010 at 06:24 PM

コメントありがとうございます。
私の独仏語学習のそもそもの目的はテクストの原書での読解にあるので、両言語とも文法を一通り理解した後に、単語を書き出しつつ精読・多読をするという方法でこれまでやってきました。ですので日常の基本語彙はすっぽりと抜けているにも関わらず専門語彙はよく知っているという現状です(とはいえ、このやり方が実は私の目的に取っては最も合理的ではあるのですが)。
ご紹介いただいた種田さんの本をまずは読んでみたいと思います。抜粋していただいた項目をだけ見ても興味深いです。
試行錯誤をつづけて数年後に(笑)「成功体験」を得られたならば、それを再びコメントさせていただきます。
それでは失礼します。

Posted by: gento | March 18, 2010 at 06:47 PM

ある会社の1万7千語レベルまでの単語を大体覚えたのですが「これでタイムがすらすら読める」という触れ込みとは裏腹に、タイムやエコノミストを読むと苦労を感じていました。それで次の一手を探していると「塔主」様のところにたどりつきました。「主」が推薦しておられるLongman Dictionary of American English にするか、推薦してはおられませんがロングマン現代英英辞典にするかで悩んでいます。後者の方を推薦しておられない理由を教えていただけないでしょか?

Posted by: alejandro | April 29, 2010 at 04:06 PM

alejandro さんへ。

>ある会社の1万7千語レベルまでの単語・・・

こうした単語集は、それなりの有効性は間違いなくあるのですが、文字通りに1万7000語収録されているわけでもなく(もし正味2万語弱収録されていても明らかに不足)、多義語の語義記述はかなり不十分で、イディオムその他のチャンク表現に至ってはほとんど記載されていない(学習者も、チャンク表現には、不思議なことに、単語ほどの興味は持たない。なぜ単語ばかりを重視するのか?)のが実情でしょう。だから、「これでタイムがすらすら読めるという触れ込みとは裏腹」ということになります。

『Longman Dictionary of American English』 は英検1級前後の実力の人なら何とか取り組めるし、覚えられる可能性が高く、このレヴェルの語彙(単語・イディオムその他のチャンク表現)をマスターすれば、『タイム』などの大衆誌であればほぼ問題なく読むことができます。そういう観点からこの辞書を推薦しました。

『ロングマン現代英英辞典』レヴェルの語彙をマスターすれば御の字でしょう。認識語彙に限ればちゃんとしたネイティヴ・スピーカーに劣らない語彙力になります。

ただ、一般論として、『ロングマン現代英英辞典』などは、『Longman Dictionary of American English』のような「中級学習辞典」を仕上げてから取り組むほうが無難だと思っています。

Thank you.

Posted by: k.y. | May 01, 2010 at 06:57 PM

回答ありがとうございます。さっそくLongman Dictionary of American Englishを購入させていただきました。これを仕上げてから次の辞書に移ることにします。日本語ではなく英語の定義で覚えていくようにします。なんだか興奮しています。alejandro

Posted by: alejandro | May 02, 2010 at 12:56 PM

Longman Dictionary of American EnglishのAの項目の暗記が予定通り終わりました。私の英語力のせいで英英ではどうしても記憶に定着しにくかったのでお勧めのワードパワーを購入し、まずワードパワーで覚えてから、次にLongmanで復習しました。スピードアップになりしかもどちらの良いところも活用でき感動いたしました。ときより夢の中でも辞書暗記をしてしまっているようで変な単語を自分で作ってしまう事になるのでは?といらぬ心配をしてしまうことがあります(^_^)。ところで数学者で大道芸人のピーターフランクルがその著書(題名は忘れました)の中で「外国語の語彙の運用能力は、母国語の運用能力に比例する」というような事を書いていたのですが、日本語の語彙力を効果的に上げる方法を教えていただけないでしょうか? もし、「こんな国語辞典を読めばいいよ」、「こうすれば英語力を上げる国語力がつく」というのがあればとてもうれしいです。

こちらのレベルも分からないので抽象的な質問になってしまっていると思います。申し訳ありません。可能な範囲のお答えで結構です。

Posted by: alejandro | May 31, 2010 at 08:58 PM

alejandro さんへ。

こんにちは。

「Longman Dictionary of American EnglishのAの項目の暗記を予定通り終了」された由、独自の方法を編み出して取り組んでおられる由、そんなスムーズなスタートに、まず、喝采を送りたいと思います。

今後、暗記の量が多くなるに連れて復習の必要性がいやましに大きくなります。

復習こそが、それだけが、「必須語彙維持」の究極の手段です。

自分独自の復習のリズムを、暗中模索しながら(=独自の忘却曲線・忘却しやすい語彙群などに覚醒しながら)、体得していくことが、「必須語彙数万語の維持」に欠かせないことです。

今はまだ復習の必要性を痛感する段階ではないと思いますが、いずれ避けては通れないプロセスになります。完全に覚えたからといって放置すると、「覚えた語彙のかなりのものを、絶対に、驚くほど、すっかり忘れてしまうこと」を前提に復習作戦を立てることが肝要です。

>「外国語の語彙の運用能力は、母国語の運用能力に比例する」...

これは実にその通りだと考えています。「必要だと思う英語の語彙の質・量」が各自で異なるのも、まさに、そのためです。「各自の日本語の語彙の質・量」が「英語の必要語彙の質・量」を決めることになります。その結果、英語の必要語彙の議論がかみ合わずに混乱を招くことにもなります。

> 日本語の語彙力を効果的に上げる方法...

ちょうど今、「本の雑誌社」から『作家の読書道(みち)』という本がシリーズで3冊本屋に並んでいます。プロの作家たちがいかにして日本語の語彙力・表現力を意識的・無意識的に伸ばしていったのかよくわかる本です。私たちにも大いに参考になります。とりあえず、推薦したい読み物です。

私自身は日本語の各種の辞典や尊敬してやまない碩学(故)白川静先生の「字書三部作」などを拾い読みしたりすることも、もちろん、いろいろな本を読むことも大好きです。活字中毒だと言えます。現代英語に関しても同じです(それを可能にするために「塔」を実行に移したわけですから)。

以上、何かの参考になれば幸いです。

Thank you.

Posted by: k.y. | June 01, 2010 at 07:04 PM

初めまして。
簡単な自己紹介をさせていただきますと、
現在英語学習3年半、TOEICスコアは400→750(10/1/28スコア)という推移です。

辞書の通読、暗記は考えもしなかったことですが、かなり効果がありそうですね。
今ロイヤル英文法の通読を行っており、究極の英単語によるボキャビルを併行しております(+ラジオ講座)。

ロイヤルと単語帳が終わったら辞書暗記に挑戦したく思い、お勧め欄にあるAccess Anchorを購入しました。
これを行ったら英英辞書を、と思っているのですが、同じくお勧め欄にあるワードパワーを使って大丈夫でしょうか?
24000語→37000語は上げ過ぎでしょうか?

Posted by: smiley man | July 15, 2010 at 04:30 AM

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