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英語の上達法 ― 「Bounce : Mozart, Federer, Picasso, Beckham, and the Science of Success」

英語の上達法: それは、『非才 マシュー・サイド著・山形浩生・盛岡桜訳』¥1900 に全部書いてある ― ヒントに満ち満ちていると言ったほうが正確かもしれない。 

ぜひ、読むべし!」 と、チャンクと学習時間重視の「塔主」は思う (ただし、英語の学習本では全くないので了承されたし)。

英語上達の要諦は、学習時間の質(適切な方法・自発的な意欲・集中力)と(数千~1万時間)。

フィギアスケートの荒川静香は、5歳ぐらいでフィギアスケートの選手になる目的を抱いてからオリンピックで優勝するまでに、練習でおよそ2万回転倒したそうだ。

英語の語彙強化に当てはめると、この転倒は、復習に相当する。 

ネイティヴ・スピーカーなら当たり前の認識語彙水準に達するのは、オリンピックで金メダルを獲るほどの偉業でもなんでもない。 

同じなのは、ひたすら向上を目指して努力することだと思う。 その間に学習方法も必然的に進化する。 そして、(議論だけして)何もしなければ、何も起こらない

追記:「非才」の著者は天性の才能の存在を否定している。

しかし、そんな才能がもしあるとしても、必要充分な認識語彙の獲得に必要なものではない

必要充分な認識語彙の水準は、ピカソの絵画の水準などとは、かけはなれた、そんなものとは比較にならない、実に平凡な水準なのだ。

ネイティヴ・スピーカーならだれでも到達している普通の認識語彙水準に過ぎない; 日本語に置き換えれば、いまのあなたの日本語の語彙水準に過ぎない; そんな水準に到達するのに才能など不要だ。

必要なのは濃密な学習時間だけ

問題は、「たいていの人がその濃密な必要時間数に注目しないこと」だ (http://sanshisuimei.cocolog-nifty.com/_the_tower_of_antibabel/2006/08/post_20b6.html の記事も参照されたし)。

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第2工程の完了が意味するもの

前回に:

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「塔」の標準的なターゲット学習辞書「Longman Dictionary of American English」を使って、ほぼ1年半にわたる濃密な時間をかけ、下記の第2工程までちゃんと終了された。

「アンチ・バベルの塔」 の工程は4段階

1 ターゲットの特定 (=学習辞書の選択)

2 未知語彙の選別・固定(=カード作成)

3 未知語彙の暗記(=本格的な暗記作業)

4 毎日30分の永久復習

こんな成果を知らせてくださったのは、E1G さんがはじめてです!

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という記事を書きましたが、「塔」の標準的なターゲット学習辞書「Longman Dictionary of American English」を使って「塔」の第2工程まで完了したことの意義は、まだ暗記には至らないとはいえ、たいへん大きいものです。

なぜか? 次のような理由があります。

その1: 普通のネイティヴ・スピーカーの認識語彙レヴェルに達することが目標である場合、自分の現在の認識語彙レヴェルがほぼ正確に認識できるから。

つまり、普通のネイティヴ・スピーカーの語彙レヴェルに占める自分の語彙レヴェルの割合が浮き彫りになる。

その2: (その1)で言及した「自分の語彙レヴェルの正確な認識」に加えて、自分の未知語彙がひとつひとつ明らかになるから。

つまり、これから暗記しなければならない語彙のひとつひとつが明確になり、ピンポイントの暗記作戦が可能になり、語彙強化の能率が飛躍的に高まる。

その3: (その2)で言及したピンポイント作戦が可能になったことによって、「普通のネイティヴ・スピーカーの認識語彙レヴェルに達する時期」が、ほぼ正確に予想できるから。

つまり、目標語彙に達する将来の時期を、ほぼ正確に、計算できるようになる。 その時期を、だいたい50%~100%の精度で、予測できるようになる ― 結局何%になるかは、学習時間や体調その他もろもろの条件に左右されるが、それで予測が計算不能になるわけではなく、計算の修正が必要になるだけである。

その4: (その1)(その2)(その3)で述べたことからして、語彙学習に焦燥感がなくなるから。

つまり、「この語彙は覚えるべきなのかどうか?」とか、「いったいいつになったら普通のネイティヴ・スピーカーの語彙レヴェルに到達できるのか?」とか、「無限に覚えなければならないのではないか?」などの疑問から開放されて、語彙学習から徒労感が除去される

中級学習(英英)辞書をターゲットにした第2工程の完了は、普通のネイティヴ・スピーカーの語彙レヴェルにいたる道程を示す明確で太い矢印の獲得です。

あとは、時間をかけるだけです。 

その時間が、たとえ5~10~20年になるとしても、充分に価値のあるものです!

そして、読書などをしていて「塔」にない語彙に出くわしても、それは普通のネイティヴ・スピーカーでも知らない語彙である可能性が高く、それこそ意味を類推するなり、辞書をひくなり、日本語の本や雑誌を読んでいるときと同じような気楽な対処をすればいいわけです。

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コメントにお答えする(3/2010)

E1G さんへ

はじめまして、塔主のk.y.です。

楽しいコメントをいただき、うれしくなりました。

> ・・・私も2009年の1月からはじめて、つい先日、アンチ・バベルの塔を「Longman Dictionary of American English」で建て終えた者です。

「塔」の標準的なターゲット学習辞書「Longman Dictionary of American English」を使って、ほぼ1年半にわたる濃密な時間をかけ、下記の第2工程までちゃんと終了された。

「アンチ・バベルの塔」 の工程は4段階

1 ターゲットの特定 (=学習辞書の選択)

2 未知語彙の選別・固定(=カード作成)

3 未知語彙の暗記(=本格的な暗記作業)

4 毎日30分の永久復習

こんな成果を知らせてくださったのは、E1G さんがはじめてです!

E1G さんのサイトも今拝見しています。英検1級もしっかり合格、着実な進化を遂げつつまだ20歳台。前途は ― これからも山あり谷ありで大変でしょうが ― 洋々ですね。

サイトを拝読しても、「E1G さんは外国語に適性がある」なという感じがします。

だから、「運用語彙(認識):約25,000~30,000語(50,000以上)、聴解力: 洋画80%、CNN95%、読解力: TIME95% 」という目標も、まだ若く(=時間に恵まれていて)意欲も体力もあることを勘案すれば、達成可能な気がします。

>  「Longman Dictionary of American English」だけでは、上記のレベル、運用語彙約2万5千~3万語、認識語彙5万語以上には届かないのではないか?

「Longman Dictionary of American English」は ― 認識語彙の観点からして ― 普通のネイティヴ・スピーカーのレヴェルです。

日本人でこのレヴェルに達するのはかなり稀。 さらに、これを運用語彙にできればノンネイティヴ・スピーカーとしては、もう言うことはないでしょう。

ただ、たとえば米国の支配層に典型的な、知的に洗練されたネイティヴ・スピーカーの語彙は、認識語彙だけを見ても、普通をかなりときにははるかに超えるレヴェルです。

そんなレヴェルに、認識語彙だけでも近づくためには、上級学習(英英)辞書の語彙を覚える必要があります。

> ・・・k.y. さんは・・・なぜ「Cambridge Advanced Learner's Dictionary」も使ったのでしょうか?・・・ネイティヴレベルになるには「Cambridge Advanced Learner's Dictionary」も必要だったからなのでしょうか?

そうです。先ほど述べましたように、中級学習辞書の語彙はごく普通のひとたち(TIME誌などならソファーに寝転がって読む人たち)のレヴェルであって、インテリのレヴェルではありません。

> 日常英会話力をネイティヴなみにするには「Longman Dictionary of American English」のマスターのほかに何をするべきか?

日常英会話なら、十分内容のある英語の会話であっても、「Longman Dictionary of American English」のレヴェルで充分でしょう。人間的な魅力や教養やユーモアなどのほうが、もっと大事だと思います。

> 私は、リスニング力がリーディング力より弱く、文字で見れば分かる文章でも、洋画などで聞き取れないことが多々あるのですが、対策として「Longman Dictionary of American English」をマスターして英語力を底上げする以外に音声面でするべきことは何か?

リスニングに必要なのは、「1連の音の流れ=1連の意味」を、その流れのままに、理解できる能力だと思います。

この能力を高めるには、ネイティヴ・スピーカーのスピード・リズム・滑らかさを目標とする音読が最も効果的でしょう。

音の強弱・弱化・消滅・リエゾンなどが無意識で行えるようになるまで、音読・シャドーイング・暗誦を繰り返すのが最も効果的だと思います。

無意識で行えるということ=最も楽に行える」ということです。

ネイティヴ・スピーカーの音声が、「英語に最も適した音声=英語のネイティヴ・スピーカーにとって最も楽な音声」であることは確かですから、私たちもそれに近づけば近づくほど英語を話すことも聞くことも楽になります。

その際、猿真似になるのではないかと、恐れることはまったくありません。各人のユニークさはどんなことをしても失われるはずはないからです。たとえば、純粋な音声だけに限っても、声紋は絶対です。ただし、猿真似で内容のない英語をべらべらしゃべる人たちもいます。そんな人たちは日本語でしゃべっても同じです。

また、自分の音声を録音して聞けば、その英語らしさや癖がよく分かって、おもしろいです。

ネイティヴ・スピーカーの友達などがいて自然な会話ができたら、もっと楽しい。

さらに、英語で学問すれば、ますます楽しくなります。

以上、E1G さんなら、既知あるいは実行中のことばかりかもしれません。釈迦に説法であればよろしくご容赦下さい。

Thank you.

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コメントにお答えする(2/2010)

smiley man さんへ。

はじめまして。 コメントありがとうございます。

英語学習(おそらく英語再学習のことでしょうか)3年半でTOEICスコア:400→750の成果は ― 実際の総学習時間数が分りませんので判断は難しいのですが ― 順調だと思います。ほとんど向上しない場合もめずらしくありませんので、得点の有意な上昇(50点超の上昇)があれば励みになりますね。

> 辞書の通読、暗記は考えもしなかった...

これは、ほとんどの方にあてはまることでしょう。 これほど効率的に語彙を強化できる方法は他にないのですが大多数の人たちは反対の意見をお持ちのようです。 

不人気な理由のひとつは、「本格的な塔の構築」には、尋常ではない根気が必要だからです。 

他方、尋常でない根気があれば、尋常でない大きな成果を享受することができます。  

> かなり効果がありそうですね。

「かなり」どころではありません。 反面、「かなり」どころではない根気も必要です。 ただし、尋常ではない根気が必要だからといって、それが「非効率性」につながるわけでは決してありません。 

同じように尋常でない根気をもってしても、 「塔」 に勝る成果をあげ得る他の語彙強化法はないからです。 私の場合も、みなさんが工夫するようなあらゆる方法を懸命に試した結果、最後にたどりついたのが「塔」だったのです。


> 今ロイヤル英文法の通読を行っており、究極の英単語によるボキャビルを併行しております(+ラジオ講座)。

これも、かなりの程度までは、たいへん効果的な方法だと思います。 

> Access Anchor

これだけでも 「やってよかったな!」 と実感できること請け合いですが、さらに、できるなら、24000語→37000語にも挑戦したいものです。 

上げ過ぎかどうかは実際にやってみて判断されたらと思います。 時間・体力・能力などに余裕があって「中級学習英英辞典」のレヴェルまで達成できれば、非ネイティヴ・スピーカーとしては、ほとんど誰でも 「これでよし!」 と納得できるでしょう。

そのために ― 学習に充当できる日々の時間数によっては ― 5~10~20年かかっても十分に価値のあることだと、私は、確信しています。

以上、いつもながらの独断です。 その旨ご容赦のほどよろしくお願いします。

Thank you.

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