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2011年新年あけましておめでとうございます。

冬らしい厳寒の中、みなさんそれぞれに清清しい気持ちで、新年をお迎えのことと思います。

昨年は政治・経済・軍事など各分野で動乱の年でした。隣国の無体な振る舞いにはたいへんな不安を感じました。

そんな状況は、政府の無原則なフラフラ状態と相俟って、今後も容易には解消されそうもなく、個人の自立こそが社会全体の好転を促す契機になるんだという気持ちがますます強くなります。

バラマキ社会主義に依存すればするほど個人も社会も弱体化します。

他方、英語に関しては、昨年、習得意欲を強める動きがありました。

いくつかの有名企業が公用語を英語に切り替えたことがその最たるものでした。

一般市民が、「実用に耐える英語」をこれほど強く意識したことはなかったでしょう。

そこでますます注目を浴びているのが「グロービッシュ(=非ネイティブの簡易英語)」という概念です。

これは、英語習得の範囲を限定して、英語の知識のインプットやアウトプットも必要最小限なものにし、その分英語の運用度を高めようという、きわめて実用的な発想に基づくものです。

こうした動きは、従来の曖昧模糊とした英語学習論に確固とした基準を設定しえたことで、実に有意義なことです。

先日、日本最大規模の書店「MARUZEN&ジュンク堂書店・梅田店http://www.junkudo.co.jp/MJumeda_floorguide.pdf」(関西にこんな大きな書店が誕生して感謝・感激!)が誕生して早速行って来ましたが、「週刊東洋経済・非ネイティブの英語術」という雑誌が再刷されて積まれていました。雑誌が大増刷されることはあまりないと思うのですが、それほど、需要と注目の大きい内容だということです。

そこで湧いてくる当然の疑問は、「グロービッシュ」到達後の英語はどのように磨くべきなのかということでしょう。

その際に注目が集まるのが、「語彙の強化」であり、究極的にはネイティブ並の語彙獲得法だと思います。

語彙といっても、単なる単語にとどまらず、チャンク表現も含んで、センテンスの理解に直結する語群のことです。そうした語彙があってこそ英語を聴き話し書く作業のさらなる充実が可能になります。

ここで「アンチ・バベルの塔」の役割が際立ってきます。

出来るだけ早く「グロービッシュ」を習得し、その後は、数年から10年・20年超の塔プロジェクトで語彙の完成を計るというわけです。

年明け早々から我田引水の主張で失礼しました。

本年もなにとぞよろしくお願いします。

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Comments

k.y.さん、はじめまして。

もうすぐ外大生となる高校生です。

最近、ふと辞書の暗記に興味をもちはじめ、どなたか実践されている方はいらっしゃらないかと検索しているとこちらにたどり着きました。

k.y.さんの説得力のある素晴らしい記事を読ませて頂いてから自分も「アンチバベルの塔」に挑戦してみたい!と強く思うようになりました。

根拠は様々ですが、主となる根拠は英文で出会った未知の単語をピックアップしながら「一体いつまで文中の単語を拾っていかなくちゃいけないんだろう?」という奇妙な焦りを払拭したかったからです。

そこで早速カード作りに取り掛かろうと思いながらもどんなカードが一番見やすく覚えやすいかというので思案に暮れています。
よろしければアドバイスをください!

私はまず英和辞書(フェイバリット英和辞典)でカードを作ろうと考えています。
英和辞書の場合、カードにはどのようにして記入していくのがよいでしょうか?

記入の仕方も自分に合った方法を見つけ出すのが一番だとは分かっていますが、参考として 英単語・日本語・例文・品詞・イディオム などの書き方について何かアドバイスを頂けると幸いです。

Posted by: ポポキ | January 21, 2011 at 09:02 PM

ポポキ さんへ。

どうも、はじめまして、k.y.です。コメントありがとうございました。

「本来のアンチ・バベルの塔」の目的は、中級以上の英語学習辞典の語彙を自分の英語の語彙の完成系(新語・専門/業界用語・生成消滅を繰り返す「はやり言葉やスラング」などは除く)と認識して、その中にある自分の未知語彙をすべてリストアップし覚えてしまうことです。

最速で数年間、人によって5~10~20年要しても不思議ではない語彙強化のグランド・デザインです。   

母国語の語彙と違って、触れる機会が圧倒的に少ない英語語彙ですから、その完成系を維持するためには、1ヶ月で一巡する程度のペースで復習を半永久的に繰り返すことも「塔」に欠かせない作業です。

ただし、そのために必要なのは1日あたり30分~1時間ぐらいで、隙間時間などを活用すれば、充分捻出できる時間数です。

ひょっとしてそんなことをしなくても完成系を維持できる人であれば、この作業は不要に成ります。しかし、たいていの場合それは無理です。

< もうすぐ外大生となる高校生です。

英語の勉強はこれからでしょう。

一般論として、「塔」は最終目標で、辞書形式ではない市販の語彙集で最頻出語彙を先に覚えてしまうのが普通のやりかたですが、学習辞書は「最高級の語彙集」ですから、いきなり「本来の塔」に着手するのも ― 並ではない根気・時間が必要なことを別にして ― 結局は最も確実な方法ではあります。

時間に余裕がある学生時代なら可能でしょう。

> 主となる根拠は英文で出会った未知の単語をピックアップしながら「一体いつまで文中の単語を拾っていかなくちゃいけないんだろう?」という奇妙な焦りを払拭したかったからです。

私にとってこの「焦り」を解決する唯一の方法が「塔」でした。多読・多聴・精読・精聴も必須の作業ですが、それだけでは、生涯「焦り」は続くと思います。

他方、あるレヴェルの語彙で妥協することもひとつの現実的な焦り解消法ですが、それは各人の状況や判断に任せるしかありません。人生は有限で、他にすべきことも多々あるからです。

> そこで早速カード作りに取り掛かろうと思いながらもどんなカードが一番見やすく覚えやすいかというので思案に暮れています。

私のカード利用法はこのブログで詳述してありますので参照下さい。

カードを利用する場合は大きな文具店でいろいろなタイプ・サイズのカードを渉猟して実際に語彙カードを作ってみるといいでしょう。こればかりは自分でやってみなければ到底わかりません。実行しなければ自分でもわかりません。各人はそれこそ個性豊かですから、私のカードはただの1例にすぎません。

また、今はアナログのカードに限らず、暗記ソフトを利用するなり、メモリボなどを参考にするなり、デジタル指向のやりかたもいろいろあることはご存知の通りです。

「おやちょう」さん(http://oyajinochosen.at.webry.info/201011/article_7.html
など、私以外の「塔実践者」の方の記事も非常に役立ちます。

「塔」とコンセプトは同じでも、具体的なやり方は各人の個性に応じて多様になるはずで、私のカード利用も ― ひとつの確率したモデルではありますが ― その1例です。

> 英単語・日本語・例文・品詞・イディオム などの書き方について何かアドバイスを頂けると幸いです。

日本語はそのままコピーしてもいいし、場合によって自分の覚えやすいようにアレンジしたらいかがでしょう。例文は、場合によって省く手もありですが、この例文はぜひ入れておきたいと判断したら、たとえば、can’t buy everything with money は使えるけれどmoney can't buy everything になじみが薄ければそれを記入しておくとか、適宜の処理でいいと思います。品詞はわかりきったものや了解済みのものは省いて「へー!」というような新たな発見があれば記入すると楽しくなります。イディオムは必須です。

以上、あくまでひとつの参考にしていただければ幸いです。

せっかくの外大ですから、やりようによっては飛躍的な進歩が可能でしょう。できることをコツコツ積み上げたら ― それが一番のコツですが ― 大いなる成果につながります。

若いポポキさんの大きな夢に乾杯!

Thank you.

Posted by: k.y. | January 22, 2011 at 10:02 PM

はじめまして。
このブログに刺激を受けて塔の作成+復習を実践させてもらっています。

私も塔の作成を開始して2年が過ぎました。
まだまだ作成途中ですが、他の人の参考になればと思い私の塔の作成方法をまとめてみま
した。


<作成手順>

1.覚えたい辞書を準備(私は「ロングマン現代英英辞典」)
2.小説やドラマでわからなかった単語の意味を辞書で確認
3.辞書で該当する箇所に黄色のマーカーをつける
4.3×5の情報カードに転記。カードの左上にマーカーで印を付ける
5.2~4の繰り返し

私がこういうやり方にしたのは以下の理由からです。

1.読んでいる本やドラマの未知の単語を先に覚えたかった
 読んだ本やドラマに出てきた単語の方がなんとなく使用頻度が高いかなと思いました。
あと、小説やドラマに出てきた単語の方が覚えやすかったというのもあります。見たこと
もない単語をアルファベット順にカードに転記していくのは私には苦痛でした。

2.最終目標がロングマン現代英英辞典の暗記だった
 この辞書に出てくる単語を全部覚えることが最終目標でした。他の英単語本とかに手を
出して遠回りするではなく最初からこれにとりかかるのがいいと考えました。単語本は頻
度順に載ってるから効率いいと思うのですが、私は1.で「自分が読書やドラマで目にす
る可能性が高い」順にカードを作ってるので、いきなりロングマンでも学習効率は悪くな
いとも考えました。

3.辞書にマーカーを付ける理由
 同じカードを作ることを避けるためです。小説やドラマで知らない単語を辞書で調べて
カードを作るので、マーカーを付けてないとうっかり同じカードを作るリスクがあります
。また、マーカーが増えてくると、「着実に辞書を制覇しつつある」という達成感も味わ
えます。

4.3×5の情報カードの理由
 1つの単語に対して2つ程度の意味と例文を載せるにはちょうどいいサイズだからです
。あと、携帯性はこれが限界と考えました。カードが小さめのサイズなので、塔のカード
の枚数は恐ろしいことになっています。まだ辞書の1/5程度しかカード作ってないのに
、既に3000枚はあります。

5.カードにマーカーを付ける理由
 最近は辞書に載っていないスラングもカードに書いています。ロングマン現代英英辞典
に出てきた単語かそうでないかを区別するために付けています。


2年の間、塔の作成をしながら、復習もほぼ毎日行っています。2年間の経験則で言うと
、小説やドラマから単語を引っ張ってくると、小説やドラマで同じ単語に出くわすことが
多いなと思いました。特に感情表現は、小説やドラマならではだと思いました。

私のように、特定の分野にまず特化したいのであれば、関連する文献などを読みつつ、そ
こから未知の単語を拾い上げるのもいいのではないかと思います。

長文失礼しました。

Posted by: muramasa | January 28, 2011 at 04:50 AM

muramasa さんへ。

はじめまして、「塔主」のk.y.です。

今年は本当に寒いですね。石の手水鉢の水が厚く凍って盛り上がっていました。

muramasa さんは「塔の作成+復習」を既に2年間実践されている由、すごいなあと思います。私も実行し復習は今も続行中なのでわかりますが、気持ちも環境も整わないと容易には前に進まないし、復習も並行して行う場合はさらに負荷が大きくなるからです。反面、楽しいからだろうなあとも思います。やりようによっては非常に濃密で充実したときを過ごせる作業ですから。

> まだまだ作成途中ですが、他の人の参考になればと思い私の塔の作成方法をまとめてみました。

ありがとうございます。実例は何にも増して説得力があります。

----------------------------

>1.覚えたい辞書を準備(私は「ロングマン現代英英辞典」)

「ロングマン現代英英辞典」は、「上級学習英英辞典」で、「塔」の対象として、理想的な学習辞書のひとつ。これ以上の語彙は覚えなくてもかまわないと言えるレヴェルです。

「これ以上の語彙は覚えなくてもかまわない=これさえ覚えればよい」という安心感は、とかく無限地獄のように思われがちな語彙強化作業をずいぶん楽にしてくれます。

> 2.小説やドラマでわからなかった単語の意味を辞書で確認

私は、この作業を延々と続けた後に「塔」に取りかかりました。muramasa さんはそれを「塔」と合体させて、「塔」建設の効率も意欲も高めておられるわけですからすばらしいです。

> 3.辞書で該当する箇所に黄色のマーカーをつける

これだけでもかなり脳の刺激になりますね。

> 4.3×5の情報カードに転記。カードの左上にマーカーで印を付ける

これで、未知語彙の再確認と復習のための固定。

> 5.2~4の繰り返し

----------------------------------

> 読んでいる本やドラマの未知の単語を先に覚えたかった

そりゃそうです!そのための語彙強化ですから。

> 読んだ本やドラマに出てきた単語の方がなんとなく使用頻度が高いかなと思いました。

おっしゃる通りです。もうひとつ言えることは、特定のライターが使う語彙の傾向が分かって、今後はそのライターの作品が読み安くなるという利点もあります。

> あと、小説やドラマに出てきた単語の方が覚えやすかったというのもあります。見たこともない単語をアルファベット順にカードに転記していくのは私には苦痛でした。

このアイデアは、他のみなさんに対する強力な動機付けになると思います。

私の場合は、「塔」を始めたころには「見たこともない単語」はあまりなかったのですが、多義語の複数の語義に通じていなかったり、何度出会っても忘れてしまう語彙や未知のチャンク表現も多数あって、大いに不満でした。また、そんな語彙の確定・固定をしていなかったために前進できないままでした。 さらに、この先どれだけの語彙を覚えたら充分なのかと言う確信もなかった。そんな状況でブレーク・スルーになったのが「塔」でした。だから、アルファベット順にチェックしていくことにさほど抵抗も苦痛もなかったわけです。

> 最終目標がロングマン現代英英辞典の暗記だった・・・他の英単語本とかに手を出して遠回りするではなく最初からこれにとりかかるのがいいと考えまた・・・「自分が読書やドラマで目にする可能性が高い」順にカードを作ってるので、いきなりロングマンでも学習効率は悪くないとも考えました。

You bet!! 先ほども言及しましたが効率を高める効果は大きいし「塔」の作業もさらにおもしろくなる。

> マーカーが増えてくると、「着実に辞書を制覇しつつある」という達成感も味わ
えます。

この達成感はアナログ方式ならではでしょう。

> 1つの単語に対して2つ程度の意味と例文を載せるにはちょうどいいサイズだからです。あと、携帯性はこれが限界と考えました。カードが小さめのサイズなので、塔のカードの枚数は恐ろしいことになっています。まだ辞書の1/5程度しかカード作ってないのに、既に3000枚はあります。

これはメリットとデメリットがせめぎあうチャレンジになりますね。その後の状況もレポートいただければうれしいです。実効ある復習に耐える物理的な量もありますから、たいへん興味深い課題です。

> 最近は辞書に載っていないスラングもカードに書いています。ロングマン現代英英辞典に出てきた単語かそうでないかを区別するために付けています。

これもひとつのチャレンジでしょう。muramasaさんの思い出がつもった貴重な資料ですね。

> 私のように、特定の分野にまず特化したいのであれば、関連する文献などを読みつつ、そこから未知の単語を拾い上げるのもいいのではないかと思います。

これは誰も反論できない事実であり、普遍的に妥当な方法論。他の皆さんにもまったく異論はないと思います。

muramasa さんは、その方法論を「塔」に組み入れることで活路を開かれたわけですね。

Thank you.

Posted by: k.y. | January 30, 2011 at 06:06 PM

k.y.さん、ありがとうございます非常に参考になりました。

私は専らアナログ派ですのでカードに記入していくこのにしました。
カードも色々模索した結果、自分に合ったものを見つけることができました。
さっそくカードの作成と暗記、復習をはじめていきたいと思います。

おやちょうさんのブログもとても参考になりました。

根気のいる長期プロジェクトですのでモチベーションが下がらぬよう時折こちらに来させていただきます!

Posted by: ポポキ | January 31, 2011 at 04:19 AM

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