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「紙の辞書」の再発見

the Book とは聖書 = the Bible のことですが、キリスト教徒はこの本をこれからもずっと使い続けると思います。the Book が電子書籍の聖書に全面的にとってかわられることはおそらくないでしょう。

たとえば、オバマ大統領は、就任式で、米国議会図書館(LC)が所蔵している、リンカーン第16代大統領が同様に宣誓で用いた聖書 ( http://blogs.loc.gov/loc/2009/01/the-lincoln-inaugural-bible-chapter-and-verse/ ) を用いましたが、こんな聖書が電子書籍の聖書に変わることなど考えられません。

the Book という存在は特別でしょうが、本一般も電子書籍とはまるで異なる存在感をもっています。

辞書もそうです辞書こそといいたいぐらいです。

辞書は、電子書籍が普及するはるか前から電子化が急速に進み、学生はもちろん社会人にいたるまで今や必須のツールになっています。私も、もちろん、たいへん重宝しています。

他の語学用デジタルツールも日進月歩の活況を呈し、その利用価値の高さを証明しています。私も、もちろん、大いに活用しています。

他方で、紙の辞書は、徐々にでも、忘れられつつあるのではないかと危惧しています。

手垢がついてボロボロになってガムテープで補修したような辞書を持っている人はだんだんいなくなっているように感じます。

あちこちアンダーラインを引いたりマーカーを使ったりしてその人の手にすっかりなじんだ辞書が姿を消しつつあるように思います。

しかし、各語彙の意味を、時には数ページに及ぶ丁寧な記述を読みながら、正確に理解し、例文などもじっくり吟味しつつ、豊穣な語彙の海を探索する営みは、優れた「紙の辞書」なくしては不可能でしょう。

あなたの語彙強化には、「紙の辞書」の再発見が必要なのです。

ひとつの例ですが、『ニューヴィクトリーアンカー英和辞典(本文1663ページ)』 を1日6ページずつ、覚えなくてもいいですから、ただ読んでいきましょう

1年で読み終えることができます。

必要にあるいは好み応じて線を引いたりマーカーを使ったりしてなじんでいく。

紙の辞書を再発見して感動すら覚えるかもしれません

かくして、あなたの語彙にたいする認識は変革を遂げて新たな地平に向かう可能性大です。

「塔」の建設はその後でも決して遅くありません。

ただ読むだけでも、「塔」を築こうとしてすぐ挫折するより、ずっと有効です。

コツコツと読み続ける、何度も繰り返して読む、未知語に特に注意して読むなどしている内に、語彙もだいぶ増えてきます。

やがて、機が熟して、『ニューヴィクトリーアンカー英和辞典(本文1663ページ)』 で「塔」を築くのも楽しいでしょう

ちなみに、『ニューヴィクトリーアンカー英和辞典(本文1663ページ)』 は、語彙学習の盲点(http://sanshisuimei.cocolog-nifty.com/_the_tower_of_antibabel/2005/01/post_6.html)を払拭するために、初めての人でも抵抗なく利用できる、活字も大きく説明も簡潔で分かりやすい、学習辞書のひとつです。

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Comments

初めて投稿させていただきます。このサイトを拝見させていただいてから未知の単語の類推というもの以前に基本的な単語力はいずれにせよきわめて大事思うようになりました。単語を覚えることの威力を感じています。英和は主にオーレックスをよく使用しています。英英も使ってきてはいたのですがいまいち使用法がわからなくなっていたころ英検一級レベルの単語では学習用英和では日本語の訳しかなく、Cambrige Advanced Leaner'sなども使う方が有効だと思い学習用英英辞典の新たな使い道も見えてきたというようなところにおります。そんな様子でまだまだ先は長いと感じる身なのですが、私の場合一番のネックは英会話です。TOEICでも英検でも設問ごとに前後に脈絡のない英語を矢継ぎ早に聞かされるととても焦ってしまい、こんなリスニングが楽にこなせる人は果たしているのだろうか、と思ってしまいます。そういった力を問題なくつけるような方法というのは果たしてあるのでしょうか。身近な人に聞いてもあまり釈然としないというところがあります。こちらのサイトをよく拝見させていたた゛くので質問させていたた゛きたいです。できればオーレックスについてのご感想とCambridge とOxfordの違いなどでご意見がもしございましたらお聞かせいたた゛けるとうれしいです。

Posted by: フライハイ | March 11, 2011 at 03:03 PM

フライハイ さんへ。

コメントありがとうございます。

( 地震、津波、原発、恐ろしい。「想定外」こそ現実だから怖いですね )

さて、世の中には救いがたく安直な英語学習法が横行しています。

相当な学習時間が必要なのに、その必須の学習時間を頭から軽視した英語習得論が次から次に出現して大きなマーケットになっています。

そんな安易な学習でも ― 海外旅行を少しでも楽しくする程度の「いわゆる英会話」なら多少身につきますし、あいさつの決まり文句をなめらかに使えるだけでも大いに役立つことがありますから ― ある程度までは確かに有効です。

しかし、「それで終わり」だという了解があまりないように思います。

フライハイさんが指摘されている「未知の単語の類推というもの以前に基本的な単語力はいずれにせよきわめて大事」というような当然の了解があまり、いやほとんど、なされていません。

文法・構文の知識やその活用能力も絶対に欠かせません。

学習辞書の話題に限れば、『O LEX』も『Cambrige Advanced Leaner's Dictionary』もOxford系その他の学習英英辞典も、それぞれにすばらしい辞書です。

各学習辞書の使用法・異なる点うんぬんの議論をするのではなく、実際に何度も使うことが、独自の使用法あるいは自分に合った学習辞書の種類を発見する最適の方法です。

そして、親しめば親しむほど、読めば読むほど、その学習辞書の使い方が分かり、威力も分かり、他方、辞書だけでは足りない場合が多いことも分かり、それでもやはり、語彙習得には学習辞書はダントツに優れたツールであることが分かってきます。

母語の日本語であっても、小中学生用の「漢字辞書」や「国語辞書」は少なからず啓発されるツールです。

> TOEICでも英検でも設問ごとに前後に脈絡のない英語を矢継ぎ早に聞かされるととても焦ってしまい、こんなリスニングが楽にこなせる人は果たしているのだろうか、と思ってしまいます。そういった力を問題なくつけるような方法というのは果たしてあるのでしょうか。

まず標準的な発音・イントネーション・リズムに習熟すること。ことばは本来音声ですから、その音声を無視した学習はありえません。

語彙を増やす場合も音声は必須です。発声できて聞き取れなければ、ことばではありません。

英検の問題集や『TOEIC公式ガイド&問題集』で実際の応答を練習することも大いに役立ちます。

英検やTOEICの英語は、標準的な発声に慣れていて、「音声を伴った語彙力」がそれなりにあれば、かなり聴き取りやすい英語です。

まず学習・練習を実行して、できるようになるまでそれを持続することが肝要です。

音がリズムに乗って無意識に出てくるほどに慣れ、「音声を伴った語彙」がそれなりに充実してくれば、英検やTOEICの英語は決して聞き取りにくいものではありません。

ただ、慣れるまでに時間はかかりますし、その必要時間は各自まちまちです。

以上、少しでも参考になればうれしいです。

Thank you.

Posted by: k.y. | March 13, 2011 at 07:25 PM

お返事いたた゛きありがとうございました!感激です!辞書や文法書、小説などを見る度にワクワクする性質なので、お返事をいただけて本当にうれしいです。リスニングについてはAFNやCNNだとちんぷんかんぷんの時もあり、オバマの演説やアバターの台詞が結構聞き取れるようになったといっても調子に乗ってはいけないなと思い直しています。アドバイスもいたた゛けてありがとうございます。

東北地震はまさに絶望的状況ですが、なにか心の支えになるものが一つあれば・・・と思います。

Posted by: フライハイ | March 14, 2011 at 06:30 PM

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