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語彙強化の誤解について

あなたは次のような2つの誤解をしていませんか?

1 語彙はいくら覚えても切りがない

そんなことはありません。

自分の母語である日本語のことを考えてみてください。あなたは、日本語の語彙不足を感じていますか?そんなことは特にないでしょう。

なるほど、だれでも、いろいろな流行語や新語や難語に出くわすことは事実です。しかし、それに対処できないことはありません。そんな語彙は、必要であれば、意識してあるいは自然に覚えてしまいます。不要になれば忘れてしまうこともあります。

つまり、支障がないようにちゃんと対処できているわけです。

それが可能なのはどうしてか?

あなたは、どんな新たな語彙に遭遇しても対処できるだけの語彙、つまり、基盤語彙を既に習得しているからです。

その基盤語彙こそ5万語内外の日本語の語彙なのです。

英語でもまったく同じです。

5万語内外の基盤語彙さえあれば、5万語というとすぐ数え方の果てしない議論が出てきて収拾がつかなくなるので、もっと具体的にいうと「中級~上級の学習(英英)辞典の語彙」=基盤語彙さえあれば、充分なわけです。

それが、「アンチ・バベルの塔」が「中級~上級の学習(英英)辞典」をターゲット辞書にする理由でもあります。

「中級~上級の学習(英英)辞典」の未知語彙を数年~5年~10年~20年(たとえば学生あるいは時間がある人ならなら数年でも可能)のあいだに覚えたら、必要にして充分な「基盤語彙」を習得することができます。

2 数十回も復習すれば、後は永久に忘れない

そんなことはありません。

日本語の語彙であれば、20年内外それで教育を受け、生涯にわたって日本語で生活し仕事をするわけですから、「基盤語彙」は特に復習しなくても忘れることはありません。

(日本人は6年以上英語を学ぶとかよく言われるが時間数に直すとせいぜい1000時間に過ぎず、それは、1日の覚醒時間を16時間として、約60日超にしかなりませんたったの60日で英語をあるいはその語彙をどれだけ習得できると思いますか?!)

生活の語彙ではない英語の場合は、接する機会・時間数が限られているために、基盤語彙であっても触れることの少ない語彙は、永久的に復習しないと確実に忘れてしまいます。

たとえば、expatiate, explicate, expound, expiate, extricate, expatriate, extirpate, extenuate, extraneous というような語彙は復習せずに放置すれば必ず混乱して区別がつきがたくなります。

もちろん、各人の必要に応じて「基盤語彙」の数も違ってきます。2~6万語ぐらいの大きな幅があります。5万語と言うのは標準的な数字です。したがって、上記のような英語の語彙など「私には不要だ」という人もいます。しかし、どんな人にでも永久に復習しないと忘れてしまう英語の語彙は必ずあります。そんな語彙は各自が独自に発見し対処するしかありません。

他方、永久に復習するといっても、それに要する時間は毎日(時にはできない日もありますが)だいたい半時間から1時間で事足ります。

そして、「覚えるべき英語の語彙数は限られていて、それは 中級~上級の学習(英英)辞典の語彙であること」 と 「毎日半時間~1時間の復習を永久に繰り返すことによって維持可能であること」 の2つの自覚を持つことで、英語の語彙習得は、今までと違って、すっきりと見通しのたつプロジェクトに変貌します

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Comments

はじめまして。
今年の初めから英英辞典を読み始め、一通り終了しましたので、何かの参考になればと思いご報告します。

(1)対象とした辞典
Longman Active Study Dictionary(3rd edition)
第3版のためちょっと古いのですが、基本語彙は問題ないだろうと考えてこれにしました。携帯できるぎりぎりの大きさです。

(2)ボリューム
a~zのページ数は777ページ、見出し語にしておよそ20,000強と推測されます。

(3)進め方
以前のコメントにもあったのですが、多義語のすべてに目を通し始めると途中で挫折してしまいそうだったので、まずは最初の語義に限って例文を含め読み進め、あやふやな語彙にチェックする方法としました。

(4)かかった時間
最初は10ページ読むのに40分ほどかかりましたが、最後は30分位で読めるようになりました。
全部で40時間前後かかり、一日2~3時間位をこれに充てていたので、ほぼ3週間かかりました。

(5)不明な単語
1ページ当たり平均約25語ほど記載されているのですが、その1/3はわからなかったので、大体7,000位でした。

(6)今後
出張が多くカードを持ち運ぶことができないので、まずExcelに単語を入力して、不明な意味を確認していきたいと思っています。

また進捗を報告させていただければと思います。
皆さまのご参考になれば幸いです。

Posted by: spqr | February 15, 2011 at 07:41 AM

spar さんへ。

はじめまして。

実際に行われた記録の開示ほど参考になるものはありません。貴重な体験レポートをありがとうございます。

「塔」の建設は、効果は絶大ですが、ハードルも高い。「辞書読み」から始めたらもっとなめらかに辞書に親しむことができます。読むだけでもうれしくなる発見が多々あります。

<  (1)対象とした辞典
Longman Active Study Dictionary(3rd edition)
第3版のためちょっと古いのですが、基本語彙は問題ないだろうと考えてこれにしました。携帯できるぎりぎりの大きさです。

この辞書は中級学習辞書ですね。私は第5版を活用語彙の鍛錬に愛用していますが、thesaurus や collocations の別枠欄がほぼ毎ページに配置され、美しい図も豊富で、読んだり眺めたりするのが楽しくなる辞書。もちろん CDROM も優れものです。

第3版は usage note や grammar note が充実しています。本文はモノクロ、図はすべて手書き風で、旧き良き時代の学習辞書の面影が残っていて懐かしい。基本語彙の学習には何の支障もないです。

私は外出の際には「Longman Pocket Activator」を携帯します。10.5センチ×15.5センチのコンパクトでオシャレな類語・語法辞典です。この辞書も傑作です。

< (2)ボリューム
a~zのページ数は777ページ、見出し語にしておよそ20,000強と推測されます。

第5版は1037ページです。各語彙の記述の詳細化と thesaurus や collocations の別枠欄追加などが増量の主な理由でしょう。しかし、第1語義だけにターゲットを絞ったspar さんの場合は第3版のほうが使いやすいと思います。

< (3)進め方
・・・多義語のすべてに目を通し始めると途中で挫折してしまいそうだったので、まずは最初の語義に限って例文を含め読み進め、あやふやな語彙にチェックする方法としました。

挫折しない方法を自分で工夫して着実に実行すること、これこそ語彙強化のポイントです。spar さんは第1関門をうまくクリアされたわけです。

ただ、「Longman Active Study Dictionary」に記載された語義に客観的に見て不要なものは一切ありません。最終的にはすべての語義を記憶の在庫にしたい。長年かかってもそれだけの価値があるものですから、できれば、じっくり取り組んでいただきたいです。もちろん、sparさんがそんなことは不要だと主観的に判断される場合は、その限りではありません。

< (4)かかった時間
最初は10ページ読むのに40分ほどかかりましたが、最後は30分位で読めるようになりました。全部で40時間前後かかり、一日2~3時間位をこれに充てていたので、ほぼ3週間かかりました。

これがまた実に貴重なレポートです。辞書読みに必要な標準時間数が明示されているからです。他の皆さんにもやりくり可能な時間数で確かな励みになります。大きな展望が開ける!

< (5)不明な単語
1ページ当たり平均約25語ほど記載されているのですが、その1/3はわからなかったので、大体7,000位でした。

1/3 という割合も重要な意味があります。この割合が 1/2 を超えると特に、継続が苦しくなり、挫折の可能性が高まるからです。また、7000ぐらいであれば、決して容易ではありませんが、充分対応できる数字でしょう。

< (6)今後
出張が多くカードを持ち運ぶことができないので、まずExcelに単語を入力して、不明な意味を確認していきたいと思っています。

乗り物の中やそれを待つ時間などは語彙強化に絶好の機会です。実行されている方は多いでしょう。特に復習に適した時間だと思います。「あの駅まで!」と思うと効率がえらく高まったりしますよね。

< また進捗を報告させていただければと思います。
ぜひ、ぜひ、お願いします。みなさんもほんとうに喜ばれると思います。よろしくお願いします。

Thank you.

Posted by: k.y. | February 16, 2011 at 02:12 PM

コメントいただきありがとうございます。
非常に励みになります。

>私は外出の際には「Longman Pocket Activator」を携帯します。

この辞書は初耳でした。amazonで見ましたがなかなかよさそうですね。買ってみたいと思います。

>ただ、「Longman Active Study Dictionary」に記載された語義に客観的に見て不要なものは一切ありません。

まさにその通りだと思います。satisfiedという基本語彙にも「満足する」という意味に加え、「確信する」という意味もあるというのを最近知り、ますます多義語をしっかり習得しなければと思っています。

SVLの暗記、コロケーション徹底演習やBusiness Word Powerなどを並行してやっているので、なかなか辞書の読み込みもはかどりませんが、一歩づつ進んでいきたいと思います。

Posted by: spqr | February 18, 2011 at 05:54 AM

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