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大西泰斗 ポール・マクベイ著 『一億人の英文法(東進ブックス)』 (3)

『一億人の英文法』 は、もっと充実すれば、従来の文法書と双璧をなすものになるだろうという感想を(2)で書きました。

今日で286ページまで読んだのですが、双璧をなすようになるだろうという感触は着実に強まっています。

どのような意味で双璧になるのか?

端的に言えば、従来の文法書が静止画だとして、『一億人の英文法』 は動画だということです。

もちろん、『一億人の英文法』 が文字通り動くわけではありません。

しかし、読み物としてみた場合、従来の文法書は頭の中で静止画を描くのに対して、『一億人の英文法』 は頭の中で動画を描く感じがするのです。

たとえば 高梨健吉著『高校生の 新 基礎からの英語(美誠社)』 は静止画です。すばらしい文法書で美しいスチール写真を見ているような印象を受けます。

読んでいて確かな安心感が醸成されます。

他方、『一億人の英文法』 は動画です。記述されていることが頭のなかに躍動を惹起します。

絵画にたとえると、古典派と印象派のような違いがあります。

あるいは、法律に対する行政といった趣(おもむき)の相違があります。

抑制自由といえるかもしれません。

『一億人の英文法』 の266ページの ● 機能は位置によって決まる と題されたコラムに (1) Regretfully, we've run out of time. (残念ながら,時間になってしまいました。) (2) "I'm afraid we've run out of time," the speaker said regretfully. (「時間になってしまいました」と講演者は残念そうに言った。) という2つの例文があって、Regretfully は(1)では「できごと全体に対する話し手の評価」を表してできごとを限定しているのに対し、 (2)では講演者が「どんなふうに言ったのか」を説明しているとして、前に配置された語彙は「限定」 の役割、後ろに配置された語彙は「説明」の役割を担うという 『一億人の英文法』 を貫く主張を裏付ける1例にしている。

こうした 「例文の表示法や意味の説明法」 にも「動きや自由」が感じられます。

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