ひとくちメモ

ひとくちメモ(6)

博愛主義 → 『個人的利己心、人種的偏見、国家的利益、宗教的またはイデオロギー的党派性を捨てて、人類全体の福祉増進のために全人類はすべて平等に相愛するべきものであるとする主義 (広辞苑の定義)』 ( http://www.iss-ryugaku.co.jp/interview/2007-dabadie02.html )

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フローラン・ダバディー氏は、上記の 『広辞苑』 の記述ほど美しい言葉はないと語っている。

氏がいう美しいというのは、「博愛主義」 の定義内容だと思う。

私は、『広辞苑』 で 「博愛主義」 の定義を読んだこともなかったし、もし読んでも、氏ほどの感銘は受けなかったに違いない。

この日本語の定義は欧米語の定義に由来するものだろう、ぐらいにしか考えなかったと思う。

欧米文脈の中で生まれ育ち humanismhumanitarianismphilanthropy という概念に接してきたであろうフローラン・ダバディー氏が外国語として学んだ日本語の 「(欧米由来の)博愛主義」 に欧米にはなかった新たな概念を見出した、その意味の美しさに感銘した、ということか?

フローラン・ダバディー氏は自分の日本語を ― 日本語の頭脳の使い方は数学に近いです。堅いね。方程式みたい(笑)。でもそれはそれで凄い楽しいんです ― と形容しているが、日本語に対するそんな姿勢も、つまり日本語の言葉を厳密に吟味して使う態度も、「博愛主義」 の発見につながっているのだろうか?

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ちなみに、humanism humanitarianism philanthropy を英英辞書で確認しても、広辞苑が記述しているような意味は確かにない。

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ひとくちメモ(5)

人は脳なり → You are your brain.

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米週刊誌 「TIME」 の 2007年2月12日号の表紙タイトルは 「THE BRAIN A User's Guide」 だった。

その冒頭のパラグラフに ― The 1.4-kg lump of wrinkled tissue - with no moving parts, no joints or valves - not only serves as the motherboard for all the body's other systems but also is the seat of your mind, your thoughts, your sense that you exist at all. You have a liver; you have your limbs. You are your brain. ― という記述がある。

それで;

人が脳をコントロールしているのか?

脳が人をコントロールしているのか?

このような問いかけは、上記 「TIME」 が 「the most circular kind of search = 典型的な堂々巡りの探求」 としているものだろう。

つまり、mind か brain かという議論。

いずれにしても、You are your brain. だ。

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ひとくちメモ(4)

the impossible はなくて、the probable と the inevitable のふたつがあるだけである。

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3.11に関して、作家・詩人の「辺見庸」さんが、◎NHK教育テレビ『瓦礫の中から言葉を』で語っていた言葉。

この世には、the impossible ( = ありえないこと) など存在しない。

3.11 はありえないことだと思っていた。

3.11のようなとんでもない破壊とダイナミズムを表現することばを人は持っていない! 旨を辺見さんは何度も語っていた。

そんな言葉を紡がなくてはならないと。

この番組の趣旨とは無関係だが、私は、この作家の日本語の語彙の豊かさ・用法の巧みさ・自然なリズムに 「かなわないなあ」 という羨望も抱いた。

また、「言葉によって世界を書き換える」(http://www.cafecreole.net/travelogue/Gaidai-sympo.html) という評論も想起した。

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ひとくちメモ(3)

「話せる英語」と「わかる英語」を区別して教えるべき ( 同時通訳者・篠田顕子氏のことば。CNN ENGLISH EXPRESS 2001年12月号増刊より ) 

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篠田氏によれば:

まず、「話せる英語」については ― ネイティヴに通じる発音ができれば「話せる英語」は意外に簡単で、500語ぐらいの語彙を使って、3語ほどまとめてつるつると言って、それらを and や but などでつないで、あとは i can't や You must 程度の基本文法をマスターしていれば充分である ― ということになる。

他方、「わかる英語」については ― 「話せる英語」では必要のない高校レヴェルの文法および豊富な語彙(1万語ぐらい)が「わかる英語」では絶対必要で、そのレヴェルまで自分の英語をもっていかないと、ネイティヴのたとえば大学の先生が言っていることが理解できない、聴き取れない ― ということになる。

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市販の英会話教材で「文法など不要」とか「2週間で話せるようになる」とか「CDを聴くだけでしゃべれるようになる」とか喧伝している場合が、その「話せる英語」に該当する。

つまり、挨拶・かたこと・旅行英語などのことで、かんたんな表現がすらすらと出てきたら、特に、何も英語を話せない人からみたら、英語が流暢だと評価される。

このレヴェルでは、確かに、高校レヴェルの文法は不要である。

しかし、「わかる英語」の場合は、まったく様相が異なる。

世間では、この2つの英語の区別を認識していない人たちが多い。

「文法など不要だ」と信じていたり、「数週間や数ヶ月で英語が使えるようになる」と思っていたりする人たちだ。

サヴァイヴァル英語( = 「話せる英語」 )の習得がまずもって必要なことはもちろんだが、「わかる英語」も、英語をそれなりに活用したければ、ぜひ必要になる。

その区別だけでもしっかり認識しておくことが肝要だ。

そして、英語で本・雑誌・新聞などを正確に読むためには、高校レヴェルの文法はもちろん必須で、語彙も1万語程度ではとうてい充分とはいえない。

事実は事実としてしっかり認識し、ごまかさない姿勢が問われる。

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ひとくちメモ(2)

辞書は、言葉の海を渡る舟だ

「ひとは辞書という舟に乗り、暗い海面に浮かびあがる小さな光を集める。もっともふさわしい言葉で、正確に、思いをだれかに届けるために。もし辞書がなかったら、俺たちは茫漠とした大海原をまえにたたずむほかないだろう」

三浦しおん著 「舟を編む」 より。

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なんと美しい日本語でしょう!

今日2012年1月2日、妻と次男と3人で、車で10分ほどの神社へ、ラジオで箱根駅伝の中継を聴きながら、山の神・柏原君のすばらしい走りも追いながら、初詣に行ってきました。

先にスパゲッティレストランで遅い昼食。運動もかねて広く美しい公園を散策の後、急で長い階段をのぼって参拝。

近場の、由緒はあれどさほど有名ではない神社だから、駐車もほとんど待つ必要がなく、人出も出店もちょうど良い賑わいで、ゆったり楽しめます。

参拝の後、特設の小舞台で神楽の舞っている高島屋に寄り道し、近接する紀伊國屋書店で買ったのが三浦しおん著 「舟を編む」

休憩の椅子にすわって読み始めたらすぐに熱中してしまい、用事を終えた妻に肩をたたかれびっくりしました。

新年早々すばらしい本に巡り合えて幸せです!

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ひとくちメモ(1)

復習こそ究極の記憶法

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読売新聞・金曜日の「暮らし 教育」面に「家庭&受験」というコラムがあって、「記憶法」の連載記事がある。12月9日(金)のタイトルは「密着度4段階を知る」である。

その4段階とは:

1「ファミリア(忘れているが覚えたことがある)」
2「レコグニション(選択肢があれば分かる)」
3「リコール(選択肢なしで自力で思い出せる)」
4「オートマチック(自然と頭に浮かぶ)」

そして、段階2は受験で目指すレヴェルだとする。

(教育プロデューサー・山口汪さん)

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英語の資格試験も2の段階で対処できるものが多い。

しかし、英語で読書したりしゃべったり聞いたりする際には3以上の記憶が必要なことは明らかである。選択肢などないからである。

そのためには、どうすべきか?

とりわけ、できるだけ日本語と同じように英語を利用するためには、どうすべきか?

中級以上の英語学習辞典(に掲載されている水準)の語彙を覚えつつ半永久的に復習すればよい。

「必要にして充分な語彙を、半永久的な復習を通じて、段階3&4に保つ」ことだ。

つまり、「必要な質・量(=学習辞典の内容)の語彙を、耐えざる復習を通じて、常備する」こと。

しつこく強調したいこと、それは、半永久的な復習(=究極の記憶法!)である

その復習には、「学習辞書で未知語彙であった語彙=塔の語彙」の復習に加えて、実際に英語を使うことも含まれる。

人によって違うが、ある質・量を超えた語彙は常に復習しないと必ず忘れる

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「私たちは、覚えることには一生懸命なのに、忘れることには鈍感。生徒は、かつて覚えたものをいつまでも覚えていると勘違いしがちだし、教師は、教えたことは覚えているはずだと思いがちです(山口汪さん・上記コラム12月2日の記事「忘れない方が大切」より)」

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